太陽をかつてなく克明に、世界最大の太陽望遠鏡の新装置
この装置は、わずか数秒で異なるフィルターを通して数百枚の画像を撮影し、それらを組み合わせて3次元のスナップショットを生成するという、高精度な観測を可能にする仕組みを備えている。
この観測により、太陽大気の異なる層における温度、圧力、速度、そして磁場の構造を詳細に解析することが可能になる。
今後の観測計画と展望
イメージング分光偏光計は、10年以上にわたる開発の集大成である。
ハワイ州マウイ島のハレアカラ火山の頂上(標高約3000メートル)に設置されたVTFはドイツの太陽物理学研究所で設計・製造された後、部品ごとに大西洋と太平洋を横断して輸送され、慎重に再度組み立てられた。
VTFに携わる研究チームは、この装置が来年までに完全に運用可能となり、使用準備が整うと見込んでいる。
「この技術的成果の重要性は非常に大きく、VTFはイノウエ太陽望遠鏡の『心臓』と言っても過言ではない。VTFは永遠の居場所ともいえるその場所でついに鼓動を始めた」と、太陽物理学研究所のVTFプロジェクト科学者、マティアス・シューベルト博士は声明で述べた。
ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡は、太陽の荒れた気象パターンをより深く解明しようとする取り組みの一つである。
こうした取り組みには、2020年に打ち上げられた欧州宇宙機関(ESA)とNASAの共同ミッションによる太陽観測衛星「ソーラー・オービター」、NASAの探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」なども含まれる。