金星の上空に浮かぶ探査用コロニー、米NASAが構想

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「HAVOC」プロジェクトのイメージ図

「HAVOC」プロジェクトのイメージ図

(CNN) 灼熱(しゃくねつ)の金星の約50キロの上空に飛行船形のコロニーを浮かべ、宇宙飛行士が滞在して金星の探査を行う――。米航空宇宙局(NASA)の研究チームがそんな構想について研究を進めている。

地球から最も近い惑星である金星で30日間の有人探査を行い、いずれはコロニーに人類を定住させる構想も描く。

金星の平均気温はセ氏462度、気圧は地球の92倍。硫酸の雲に覆われていて探査機は2時間程度しかもたず、地表の温度は鉛も溶けるほど高い。

しかし上空50キロまで上昇すると地球に近い環境になるという。重力は地球よりやや小さく、気圧は同程度。放射線は宇宙空間に遮られて危険性が小さくなる。

このプロジェクトは「HAVOC」と名付けられ、NASAのラングレー研究所がロボットや人間による金星探査実現の可能性について研究を進めてきた。

コンセプトの1つとして浮上しているのが、軽量の車両に器材と探査車、あるいは宇宙飛行士2人用の居住空間と上昇機を乗せ、1カ月かけて金星を探査するという計画だ。

地球と金星が最も近づいた場合の距離は3800万キロと、火星までの5460万キロに比べると近い。このため他の惑星への有人飛行計画に比べてかかる日数は少なくて済み、火星への有人飛行の予行演習になるかもしれないと研究員は説明する。

ただ、宇宙船を着陸させずに大気圏に送り込むことは困難が予想される。まずはロボットを送り込んで技術実験を行い、金星の大気について理解を深める必要があるという。

現時点で同プロジェクトにNASAの予算を割り当てる計画はない。しかし研究チームは数十年以内にプロジェクトを実現させたい考えだ。

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