中国、石炭が史上最高値を記録 電力不足続く

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石炭火力発電所沿いを流れる黄浦江で釣りをする人=9月28日、上海/Hector Retamal/AFP/Getty Images

石炭火力発電所沿いを流れる黄浦江で釣りをする人=9月28日、上海/Hector Retamal/AFP/Getty Images

香港(CNN Business) 中国北部で発生した洪水が、現地の主要な石炭生産拠点に甚大な被害を及ぼしている。このため石炭価格が急騰し、現行の電力不足解消を目指す中国政府の取り組みに支障が出ている。

中国最大の産炭地域である山西省ではこのほど、豪雨の影響で60カ所の炭鉱が操業停止を余儀なくされた。同省の緊急事態管理当局が9日に発表した声明で明らかにした。

隣接する陝西省も国内3位の石炭生産量を誇るが、同様に豪雨と土砂崩れのため炭鉱の操業を停止したという。国営の証券新聞、証券時報が報じた。

主に発電に使用される一般炭の先物価格は11日、鄭州商品取引所で最大12%値上がりし、1トン1408人民元(約2万5000円)の史上最高値を記録した。年初来では2倍以上の上昇となっている。

石炭は中国における主要なエネルギー源であり、暖房や発電、製鋼に幅広く活用されている。昨年は国内で使用したエネルギーの6割近くを占めた。

今回の異常気象の直撃は、中国が電力不足の影響緩和に取り組んでいたタイミングで発生した。具体的には石炭の生産を増強し、火力発電による電力の料金値上げを認めるといった施策を行っていた。

この数週間で、エネルギー不足に陥った省は20に拡大。政府は電力使用のピーク時の供給制限や一部工場での生産停止に踏み切らざるを得なくなった。工業生産は阻害され、中国の経済見通しを圧迫する事態となっている。

電力不足にはいくつもの要因がある。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の建設ブームで化石燃料への需要が急増する一方で、今年初めには二酸化炭素(CO2)の排出抑制を進める目的から全国数百カ所の炭鉱で生産を停止もしくは縮小する措置が取られていた。これが石炭価格の押し上げにつながった。

主要な石炭供給国であるオーストラリアからの輸入制限と、極端な気候も状況を一段と悪化させた。

国家能源(エネルギー)局によると、今年7月は例年を上回る高温に見舞われ、国内の電力使用量は記録的水準に達したという。また1~8月の全体のエネルギー消費は前年同期比で14%増加したが、水力発電などの再生可能エネルギーはここ数カ月の干ばつで十分な供給を行えていないとしている。

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