(CNN) イスラエル諜報(ちょうほう)省がパレスチナ自治区ガザ地区の住民数百万人規模のエジプト・シナイ半島への移送を提案した文書をまとめ、その後にこの文書が外部へ流出していたことが4日までにわかった。
ただ、ネタニヤフ同国首相は、文書の性格などを重く受け止めておらず、軽視する考えを示した。
イスラエル首相府は声明で、文書は予備的な調査の色合いが強く、「政治や安全保障レベルでよく準備される多数の文書のようなもの」と説明。
「次の日」に備えた事後策はイスラエル政府の公式回路では取り上げられていない議題になっていると指摘。「現在は(ガザ地区を実効支配するイスラム組織の)ハマスの統治や軍事能力を解体させることに注力している」とした。
諜報省の文書は先月13日付で、その後、イスラエルのサイト「シチャ・メコミット」に漏出してもいた。
文書は、ハマスとイスラエル軍の軍事衝突に巻き込まれるガザ住民への対応策について三つの選択肢を提示。「選択肢C」ではガザ住民のシナイ半島北部への移動がイスラエルの長期的な安全保障にとって最善の策と位置づけていた。
移送先にはテントの街が造られ、ガザ住民の居住地になると想定。より永続的に機能する都市の建設はその後になるとした。再定住の住民を支援する人道回廊の創設も盛り込み、イスラエルへの入国を阻む治安対策として防御線も設けるとした。
今回の文書の発覚を受け、イスラエルはパレスチナ人を意図的かつ恒久的に追い払うことを試みているとの疑念がアラブ諸国の間で高まる可能性がある。エジプト、ヨルダン両国は既に、ガザや同じパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の住民を両国へ移動させる一切の計画は中東での紛争を悪化させるだけと警告している。
この中でエジプトのシュクリ外相は、イスラエル諜報省の文書を「ばかばかしい提案」と一蹴(いっしゅう)。「我々や他の誰もそのようなばかばかしい提案を出さないだろう」と続けた。
CNNとの会見で、この提案についてイスラエル側とは接触していないとも指摘した。