新型コロナのワクチン、2回接種の必要性が大きな問題か

新型コロナワクチンは2回の接種が必要になる見通しだ

2020.08.31 Mon posted at 11:39 JST

(CNN) 米国などで開発が進められている新型コロナウイルスのワクチンは、2回の接種が必要になる見通しだ。その場合、供給面で予想される問題に加えて、1度だけでなく2度の接種を受けるよう国民を説得することも難しくなる可能性がある。

供給面については、流行が続く中での検査キットや防護具の調達は困難を伴い、2回分のワクチンを全土に行きわたらせる妨げになるかもしれない。

「これは間違いなく、人類史上、最も困難で、最も大規模な予防接種になる。我々がこれまで試したことのないような、相当の努力と高度な対応が求められる」。米バンダービルト大学のケリー・ムーア教授はそう指摘した。

米連邦政府は現在、新型コロナウイルスのワクチン開発促進を促す「ワープ・スピード作戦」に基づき、医薬品会社6社に補助金を拠出している。

このうちモデルナとファイザーは現在、フェーズ3の大規模臨床試験の段階にある。それぞれボランティア3万人が、モデルナは28日間隔、ファイザーは21日間隔で、2回のワクチン接種を受けている。

アストラゼネカは8月中にフェーズ3に入る見通し。フェーズ1とフェーズ2では28日間隔で2回の投与を行った。

ノババックスはまだフェーズ3の臨床試験は開始していないが、これまでの臨床試験では2回の投与を行っていた。

ジョンソン&ジョンソンが開始予定のフェーズ3の臨床試験では、1回の接種を受けるグループと、2回の接種を受けるグループに分かれる。

サノフィはまだ、接種が1回になるのか2回になるのかについて発表していない。

米国民1人につき2回投与する場合、計6億6000万回分のワクチンが必要になる

2回の接種が必要とされるワクチンは珍しくはない。子どもの水ぼうそうやA型肝炎、大人の帯状疱疹(ほうしん)のワクチンなどは2回の接種を必要とする。

過去には短期間で集団予防接種を受けさせた前例もある。米疾病対策センター(CDC)によると、新型インフルエンザが猛威を振るった2009年春、米国では1億6100万人が数カ月以内に予防接種を受けた。

つまり、来るべき新型コロナウイルスの予防接種は困難だが、不可能ではない。

「実現はできると確信している。だがこれは大きな要求であり、成功させるためには国民と協力しなければならない」とムーア氏は強調する。

米国では国民3億3000万人のために、6億6000万回分のワクチンが必要になる。さらに、注射器や注射針、防護具などの供給も全て倍増させ、接種に間に合うように行き渡らせる必要がある。

米国ではさらに、国民に2回どころか1回の予防接種を受けさせることさえ難しそうな状況だ。

CNNが8月に実施した世論調査では、米国人の40%が、たとえ無料で簡単に予防接種を受けられるようになったとしても、接種は受けないと回答した。

予防接種を望む人にとっても、2回の接種にはさまざまな困難が伴う

予防接種を望む人にとっても、2回の接種には困難が伴う。

1回目を受けた人は2回目の予定を覚えておく必要があり、仕事を2回休まなければならないかもしれない。長い行列に2回並んだり、発熱などの不快な副作用を2回にわたって経験しなければならない可能性もある。

そうした障壁を低くするため、例えばモバイルクリニックを開設するなどして身近な場所で接種を受けられるようにするなどの対策が考えられる。

ワープ・スピード作戦にかかわる専門家のネルソン・マイケル医師は、「国民に確実にその気になってもらえるよう、できるだけ簡単に2度の接種を受けられるようにする必要がある」と話している。

新型コロナワクチン、2回の接種が必要な見通し

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