タイとカンボジア、停戦に向けマレーシアで協議へ 国境地帯で衝突続く
プノンペン/バンコク(CNN) カンボジアとタイが領有権を争う国境地帯での武力衝突は4日連続となった。これに先立ち、米国のトランプ大統領が両国の停戦協議入りを発表し、戦闘の継続が米国との貿易協定に悪影響を及ぼすと警告していた。
タイとカンボジアの当局の発表を基にしたCNNの集計によると、24日から続く戦闘で少なくとも35人が死亡し、200人以上が負傷した。20万人超が避難を強いられている。
双方は衝突の責任を互いに押し付け合っており、国連や国際社会による停戦の呼びかけにもかかわらず、戦闘は続いている。
マレーシアの国営メディアが同国外相の話として伝えたところによると、タイとカンボジアの両首脳は28日午後、マレーシア首都クアラルンプールで協議に臨む予定。
カンボジアのフン・マネット首相は、会合に出席することを確認。今回の会合は、米国が共催し、中国も参加するという。
タイ側も、プームタム暫定首相が会合に出席し、「平和回復につながるあらゆる提案を聞く意図がある」と明らかにした。
トランプ大統領の発表後の27日も、タイ政府は「まだ軍事作戦を止める準備が整っていない」とし、スリン県などの民間地域に対しカンボジア側が砲撃を行っていると非難した。
タイ外務省は声明で、カンボジアが人権と人道法の基本原則を繰り返し侵害している限り、いかなる敵対行為の停止も実現できないと述べた。
トランプ大統領は、戦闘が継続するならば、米国は両国との貿易協定を結ばないと両首脳に警告している。
プームタム氏は記者会見で、第三国の調停を望んでいないが、トランプ氏の懸念には感謝すると述べた。
カンボジア国防省によると、タイ軍が27日、カンボジア国内の複数の地点を無人機や戦車、クラスター弾などで攻撃した。
一部の飛翔(ひしょう)体は、世界遺産に登録されているプレアビヒア寺院の周辺に着弾したという。
カンボジア文化相はCNNの取材に対し、ユネスコ(国連教育科学文化機関)に書簡を送ったことを明らかにし、文化遺産を守るための停戦を訴えた。