仏大統領、右派のポッドキャスターを提訴 妻が男性だとの主張巡り
夫人は男性?、ポッドキャスターの主張受け仏大統領夫妻が提訴
パリ(CNN) フランスのエマニュエル・マクロン大統領と妻のブリジットさんは23日、右派のポッドキャスター、キャンディス・オーウェンズ氏に対し、米国で22件の名誉毀損(きそん)訴訟を起こした。ブリジットさんが男性ではないかとするオーウェンズ氏の主張が名誉毀損に当たると訴えている。
デラウェア州上位裁判所に提出された訴訟では、オーウェンズ氏が「マクロン夫妻に対する1年間にわたる執拗(しつよう)な誹謗(ひぼう)中傷キャンペーンを放送した」と主張している。マクロン夫妻の弁護士を務めるトム・クレア氏が声明で明らかにした。
訴状によると3月、保守派のコメンテーターであるオーウェンズ氏は、「フランスのファーストレディーは男性なのか?」と題したユーチューブ動画で、荒唐無稽な陰謀論を再燃させていた。
X(旧ツイッター)で広く拡散されたこの陰謀論について、オーウェンズ氏は「おそらく政治史上で最大のスキャンダルだ」と述べている。
その後、オーウェンズ氏はブリジットさんに関する数多くの動画を、約450万人のチャンネル登録者向けに制作。その中には「Becoming Brigitte(ブリジットになる)」というタイトルの複数回にわたるシリーズも含まれる。
訴訟ではさらに、彼女が当該の主張を宣伝するグッズを販売していたと指摘している。
クレア氏は23日、CNNの取材に答え、夫妻がオーウェンズ氏に対し約1年間にわたって主張を止めるよう求めたと説明。同氏がこれを拒否したため、「最後の手段」として提起に踏み切ったと述べた。
訴状では、これらの根拠のない主張を米国メディアと国際的な聴衆に流した人物はオーウェンズ氏が最初だと強調している。夫妻は懲罰的損害賠償を要求。将来のビジネス機会喪失を含む「重大な経済的損害」を被ったと主張する。
オーウェンズ氏は23日、インスタグラムにマクロン夫妻の訴訟を引用した記事のスクリーンショットを投稿。記事中の夫妻の写真に「今日はこのウィッグを狙う。お楽しみに」というキャプションを添えた。
オーウェンズ氏はその後、ユーチューブにも動画を投稿。訴訟は「明白かつ絶望的な広報戦略」だと述べた。
CNNはオーウェンズ氏にコメントを求めている。
フランス大統領府は当該の訴訟について、「私的な問題」でありこの件へのコメントは控えるとした。