米イラン核協議、5回目が終了、一定の進展もイランでは懐疑的な見方強まる
テヘラン(CNN) イランと米国は23日、イタリア・ローマで、イランの核開発をめぐる5回目の協議を行った。米政府が姿勢を硬化させるなか、イランでは合意の可能性への懐疑的な見方が強まっている。
トランプ米政権の高官は、さらなる協議が必要であり、双方が「近い将来」の再協議で合意したと述べた。
同高官は「協議は引き続き建設的で、さらなる前進はあったが、まだやるべきことが残っている」と強調。米側によると、ウィトコフ中東担当特使も出席したこの協議は約2時間続いた。
イランのアラグチ外相は、国営放送IRIBで、今回の核協議について、「2、3度の会合で解決するには複雑すぎる」と述べつつ、「最も専門的な交渉のひとつを完了した」とも語った。
イランの情報筋はCNNに対し、米国がイランにウラン濃縮計画の完全廃止を要求しているため、合意に至る可能性は低いとの見方を示した。イラン側としては、今回の協議は米国の最新の立場を推し量るためだけで、突破口を探る意図はなかったという。
アラグチ氏は出発前、SNS「X」への投稿で、合意への道筋は難しくないとし、「核兵器ゼロ」なら合意に達し、「濃縮ゼロ」なら合意に達しないとして、イラン側の譲れない一線について改めて示していた。
米政権は、濃縮活動が「兵器化を可能にする」としてイランに全面停止を要求している。ウランは核燃料であり、高度に濃縮されれば核爆弾の製造に利用できる。イランは核計画は平和目的だと主張し、合意の一環として兵器級への濃縮を行わない用意があるとしている。
「プランB」の準備
イラン議会国家安全保障・外交政策委員会の委員は24日、CNNの取材に対し、米国が依然として濃縮ゼロを主張しているものの、イラン側がこれに同意することはないとして、希望を持てていないと語った。交渉が合意に至るとは見ていないとして、「代替案」を用意していると言い添えた。
アラグチ氏は、国際原子力機関(IAEA)による監視強化に応じる用意はあるが、ウラン濃縮を含む原子力の平和利用の権利は譲らないと強調した。
米国は当初、イランの限定的な濃縮を容認するかどうか態度をあいまいにしていたが、ここ数週間で「濃縮ゼロ」へと立場を硬化させた。この転換はイランで米国の交渉姿勢への疑念を招いている。
イランの情報筋はCNNに、米国が濃縮ゼロが不可能と知りながら固執するのは、合意より圧力強化を狙っている証拠だと語った。当初は「ウィンウィン」の妥協を期待する声もあったが、現在は米側が交渉を行き詰まらせているとの見方が広がっている。会談自体は続くものの、実質的な進展は期待しにくいとの見通しを示した。