ガザ地区に支援物資の搬入再開、11週間ぶり 国連「到底足りない」
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区に21日、3月初旬以降初めて食料が届けられた。しかし国連高官らは、深刻化する人道危機を食い止めるには「到底足りない」と警告している。
国連当局者らは22日にもさらに物資が搬入されることを期待しているとし、大量の物資の搬入が認められなければ、ガザの大部分の人々が飢饉(ききん)に直面すると訴える。
イスラエルは3月2日以降今週までガザへの人道支援物資の搬入を全面的に禁止していた。イスラム組織ハマスが物資を奪い、利益を得ているためだという。
人道支援物資を積んだトラックが21日、11週間以上ぶりに食料と物資の搬入を再開した。ガザの運輸協会によると、小麦粉や乳児用サプリメントなどの食料を積んだ90台以上のトラックがガザ地区南部に物資の配送を開始した。
南部のパン店には小麦粉が届けられ、店主は「ただちに」生産を始めたと語った。

小麦粉不足で閉業していたパン店が営業を再開した=22日、ガザ中部デイルアルバラ/Ramadan Abed/Reuters
ガザへの支援物資の流入を管理する占領地政府活動調整官組織(COGAT)によると、19日にはトラック5台、20日には93台、21日にはさらに100台がガザ地区に入った。
しかし、国連児童基金(ユニセフ)のラッセル事務局長は21日、X(旧ツイッター)で「救命物資を積んだトラックが数台入ったが、到底足りず、物資を切実に必要としている人々に届いていない。ガザ地区内の物資は底をつきつつあり、時間も迫っている」と訴えた。
また、ガザ地区内の輸送ルートをめぐってイスラエル軍と援助機関の間で意見の相違が生じ、遅延が発生しているほか、衛生用品や燃料などの生活必需品はイスラエル当局によって許可されていないという。
支援物資の供給は徐々に再開されているものの、イスラエル軍は作戦を拡大し続け、民間人を狭い地域へと押しやっている。国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば、現在、ガザ住民の80%が避難命令の対象となっているか、イスラエルの軍事区域内に居住している。
OCHAは、「ガザ地区の住民の継続的な避難は、人道支援チームに計り知れない負担をかけており、極度の避難所不足につながっている。避難所や住宅は過密状態にある」と述べた。