中国のレアアース輸出規制、米中「停戦」後も継続の様相
米防衛関連企業向けの許可は出るのか
CSISのバスカラン氏は、中国が輸出規制リストから削除した米企業28社の多くが航空宇宙企業や防衛関連企業であることに注目。これらの企業の中国サプライヤー(供給業者)は今後、レアアース磁石の輸出許可を申請することができるはずだと述べた。
しかし、中国が最終的に米防衛関連企業向けの輸出に許可を出すかどうかは定かでない。
許可制のルールによると、輸出元の企業は申請書類にエンドユーザー(最終顧客)を記載する必要がある。専門家によれば、米防衛関連企業に向けた輸出の場合、中国商務省は米側が答えにくい質問を繰り返し、許可を先延ばしにする可能性も十分考えられる。
エンドユーザーや用途の情報を提出することで、中国に米国側の内情を知られ、弱点を探られると懸念する声もある。
「地政学的な武器」
中国にとって、レアアースをはじめとする重要資源への支配力は「地政学上の強力な武器」になると、専門家らは指摘する。
バスカラン氏によれば、中国はレアアース磁石のVW向けの輸出をまず許可したことで、地政学的なメッセージを発信しているとみられる。ドイツの積極的な対中外交姿勢に米国が警戒感を示すなか、中国は独企業への輸出をいち早く許可することで「中独関係への極めて前向きな合図を送っている」と、同氏は主張。米中間の緊張が高まっている今、「許可制はますます大きな力の形態」として生き続けるかもしれないと述べた。