性格に合ったトレーニングでより楽しく、より良い結果も? 新研究

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性格によって好む運動が異なるという研究結果が報告された/Mireya Acierto/Digital Vision/Getty Images

性格によって好む運動が異なるという研究結果が報告された/Mireya Acierto/Digital Vision/Getty Images

(CNN) 運動を楽しいものにすることは、運動する動機がなかなか見つからない多くの人たちにとって究極の目標だ。

だが、ランニングや、以前通っていたジムのクラスを無理やり楽しもうとするよりも、もっと単純な解決策があるかもしれない。つまり、自身の性格に合ったトレーニングをするというものだ。なぜなら、「フロンティアーズ・イン・サイコロジー」で公開された研究によれば、異なる性格の特性を持つ人は異なる種類の運動を楽しむからだ。

例えば、より外交的な人はチームスポーツなど他人と行う高強度のトレーニングセッションを好む一方、感情の不安定さを測る指標である「神経症傾向」の数値が高い人は、人に見られずに短い休息を挟む個人のトレーニングを好む。

「誠実性」の数値が高かった人は「バランスの取れた健康状態である可能性が高く、それは誠実な人たちは運動が自身にとって良いことだという動機で行動する傾向があるためだと考えられる」。今回の研究の共同筆頭著者で、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)の運動科学准教授、フラミニア・ロンカ氏はそう指摘する。

ロンカ氏は、性格によって、どんな強度や種類の運動に引かれるかが決まるとし、それを理解できれば、運動が不足がちな人が運動への第一歩を踏み出すことができるようになると語った。

外交的な人は高強度の運動を楽しむ傾向があることがわかった/SolStock/E+/Getty Images
外交的な人は高強度の運動を楽しむ傾向があることがわかった/SolStock/E+/Getty Images

今回の研究結果には、より多くの人たちに運動を奨励するという重要な意味合いがある。特に、世界保健機関(WHO)が推奨する週150分の身体活動を達成しているのは成人ではわずかに22.5%、青少年も19%に過ぎないからだ。

フロリダ州立大学で性格と健康の関係を研究しているアンジェリーナ・スティン教授は、性格の種類に焦点を当てることで、医療提供者は「運動に対する、より個別なアプローチ」を提供できるかもしれないと述べた。スティン氏は今回の研究には関与していない。

スティン氏は「通常、我々は人に運動を勧める際、『高強度インターバルトレーニングが健康にいいことはわかっているので、やるべきだ』とだけ言う」と述べた。「しかし、神経症の傾向が強い人はやらないし、低強度の運動も有益であることはわかっている。神経症の傾向が強い人であることを知って、そのような運動を勧めると、もしかしたらそうした運動に取り組む可能性が高くなるかもしれない」

ロンカ氏は、性格の特性は相互に影響し合うことにも留意すべきだと指摘した。神経症の傾向と誠実性の両方の数値が高い人もいる。つまり、運動が不安を誘発するかもしれないが、それが自身にとって良いことだとわかっているため、運動をする可能性がはるかに高いという。

ロンカ氏らは、研究のため、まず25歳から51歳までの132人の参加者に対し、性格の特性を明らかにするアンケートに答えるよう指示した。

内向的な人ほど、人に見られず低強度の運動を好む傾向があった/vm/E+/Getty Images
内向的な人ほど、人に見られず低強度の運動を好む傾向があった/vm/E+/Getty Images

今回の研究では、外向性、神経症傾向、協調性、開放性、誠実性の五つの特性を通じて人の性格を概念化する一般に使われているモデルを採用した。

今回の研究を共同で主導したUCLの神経科学教授、ポール・バージェス氏は「性格の特性とは、特定の状況における人々の行動を説明したものに過ぎない」と語った。「そして、特定の状況における人々の行動は、脳の能力、つまり、何に気づくのか、何に注意を払うのか、何を記憶できるのか、どれだけはやく反応できるかによって大きく左右される」

研究者は、参加者にフィットネスの試験を実施し、無作為に二つの集団に分けた。一つの集団には8週間のサイクリングと筋力トレーニングの計画が与えられ、対照群には週10分間のストレッチエクササイズが与えられた。当初の参加者132人のうち86人が8週間の前後のテストを完了した。

研究では、サイクリングと筋力トレーニングのプログラムを完了した人では、あらゆる性格の種類で、体の健康状態が向上したものの、エクササイズの楽しさには顕著な違いがあったことがわかった。外交的な性格の人は高強度のフィットネス試験を楽しみ、神経質な性格な人は自宅で行う低強度のセッションを楽しんだ。

性格の特性も運動がストレスレベルに及ぼす影響を示唆している。神経症傾向の数値が高い人は、他のどの集団よりも自己申告のストレスが大幅に減少していることが判明した。

「ストレス軽減から最も恩恵を受けるのは、8週間の運動後に実際にストレスが軽減した人たちだ。これは非常に力強いメッセージだと思う」(ロンカ氏)

ストレスの軽減など運動には多くの利点があることから、ロンカ氏とバージェス氏は今回の研究の結果が、人々が嫌いな従来の運動以外の代替方法を見つけるきっかけになることを期待している。

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