ANALYSIS

【分析】和平プロセスはまさにロシアの思惑通り、のろのろと進む

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記者団に応じるロシアのメジンスキー大統領補佐官=15日、トルコ・イスタンブール/Burak Kara/Getty Images

記者団に応じるロシアのメジンスキー大統領補佐官=15日、トルコ・イスタンブール/Burak Kara/Getty Images

(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの低位の代表団との会談のためウメロウ国防相をトルコ・イスタンブールに派遣した。これはただ一人、トランプ米大統領にアピールするための必要に迫られた苦渋の決断だった。

ウクライナはどのような形の和平であっても、それを促進するためにあらゆる措置を取る用意があることを示さなければならない。さもなければ、トランプ氏が徐々に周囲の親ロシア派の声の高まりを感じ、和平プロセスそのものに嫌気がさし、ウクライナ支援を制限する恐れがある。

しかし、結局のところ、和平プロセスはロシアの思惑通りに進んでいる。ゆっくりと、そしてクレムリン(ロシア大統領府)の計画通りに。

これまでに明らかになったことは、クレムリンはさらなる制裁や欧州からの圧力を恐れておらず、トランプ氏に言いくるめられてもいないということだ。今のところロシアのプーチン大統領は、米国大統領とウクライナ大統領と並んでの写真撮影が国内でもたらす落とし穴のほうが、トランプ氏の怒りを買うことによる損害よりもはるかに大きいとみている。

プーチン氏が和平協議の提案を拒否したのは想定されたリスクであり、すでに効果を上げている可能性もある。トランプ氏が「プーチン氏と会うまでは何も起こらない」と発言したことで、両首脳が会談するまで外交努力への期待は消え去った。トランプ氏が両氏の直接会談まで進展はないと本気で信じていることをプーチン氏は理解している。それによりプーチン氏は自由に行動できる。

二国間会談が近いうちに実現する可能性は否定できない。16日のイスタンブールでの会談が週末の首脳会談につながる可能性もある。しかし、プーチン氏は、米政権が和平プロセスを投げ出さないよう偽りの誠意を装いながら和平プロセスがわずかずつ前進していくのを喜んでいるに違いない。急ぐ必要などない。ロシア軍は東部の前線付近に集結している。ロシアがより大きな戦略目標を念頭に置いていることは明らかだ。

本稿はCNNのニック・ペイトン・ウォルシュ記者による分析記事です。

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