宗教系学校で「すさまじい暴力を伴う」「衝撃的な」性的虐待の報告 アイルランド
(CNN) アイルランドの宗教系学校308校で2395件の性的虐待が申し立てられていることが分かった。虐待を行ったとされる人物は884人に上る。3日に発表された報告書で明らかになった。
申し立てのほとんどは、アイルランドで現在学校を運営しているか過去に運営していた42の修道会の記録をもとに報告された。対象期間は1927年から2013年。告発された男性には教師や聖職者が含まれ、半数以上がすでに死亡しているという。
アイルランドのフォーリー教育相は3日、報告書に詳述されている虐待の度合いは「本当に衝撃的で、虐待したとされる容疑者の数も衝撃だ」と述べた。
140人以上の被害者が「恐怖と沈黙の雰囲気の中」でいたずらされ、裸にされ、レイプされ、薬物を投与されたと証言している。
700ページに及ぶ報告書によると、虐待は「すさまじい暴力を伴う」ことも頻繁にあったという。
報告書のためにインタビューを受けた被害者の大半は、現在50~70代の男性。中には、虐待とその影響について初めて告白した人もおり、多くは「虐待が始まった日に子ども時代が終わった」と口にした。
被害者の一部は虐待が「あまりにもまん延していた」ため、学校を運営していた修道会の上級幹部が気付かないはずはなかったと話す人もいる。また、幹部の中には虐待を無視しただけでなく、虐待を助長し、加担した人もいたと思うとも語った。
学校や修道会による「隠蔽(いんぺい)」や、国家と教会の「共謀」があったと信じている人もいる。
報告書には「多くの(インタビュー)参加者はカトリック教会の力が生活のあらゆるところに浸透していると感じ、大多数が両親を含め誰にも相談できないと感じていたと述べた」と書かれている。
成人した被害者らは交友関係の破たんや、精神的・身体的な健康の問題、依存症など虐待に起因する数々の困難を詳細に語った。虐待にあったことを理由に子どもを持たないと決めたという人もいた。子どもをもうけた人は自身の体験が子育てに影響したと口にした。
報告書によると、虐待は17の特別教育学校を含む、公立学校と私立学校に広がっており、190人の容疑者に関する590件の申し立てが記録されている。
フォーリー氏は3日、アイルランド政府が調査を進めるための委員会を設立する手続きを開始し、救済制度を構築すると述べた。