ミサイル攻撃で両親を失った10歳の少年、「どうやって生きていけば」 ウクライナ東部
ウクライナではこの2年間、民間施設にロシアのミサイルが撃ち込まれ、名もない人々の命が奪われてきた。子どもたちの生活が破壊され、何十年も先まで消えない傷跡を残している。
ミコラ君は病院で鎮静剤を投与された。兄がやって来て状況を説明し、残されたのは兄弟2人きりだと、4度繰り返した。ミコラ君は落ち着こうと努めつつ、母を助けられなかった自分を責めた。
ミコラ君は、近くに住む名付け親の女性に引き取られることになった。この街にとどまって、両親の墓を守るつもりだ。墓の前で「助けられなかったことを謝る。母を助けられなくてごめんなさいと、父に謝る」という。
今の夢は、両親に「これからどうしたらいいか、どうやって生きていけばいいのか」と尋ねること。そして、ミサイルを発射した相手に復讐(ふくしゅう)することだと話す。
ロシア軍は最近、ポクロフスク周辺をはじめとするウクライナ東部の前線で攻勢を強め、多くの家族が犠牲になっている。ミコラ君の家の跡で、近所の住人らは「このあたりに軍の施設はないのに」と指摘した。がれきの片付け作業が進む現場に、飼い犬の死骸の腐敗臭が漂う。ラジオにはロシア局の電波が入り、「欧米がウクライナに近代的な装備の供給を拒否しているせいで、ウクライナ軍の若者たちが犠牲を強いられている」と報じる声が流れた。