「ウクライナは白旗あげる勇気を」 ローマ教皇の発言に批判の声
(CNN) ウクライナはロシアとの戦争の終結に向けて「白旗をあげる勇気」を持つべきだというローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇の発言に批判の声が出ている。
フランシスコ教皇は9日に放送されたスイスのラジオ局RTSとのインタビューで、交渉が「強い側を正当化する」ことになるのではないかと質問された。
「それもひとつの解釈だ」と教皇は述べた。「だが、より力のある者とは、状況を判断して、人々を思い、白旗をあげる勇気を持ち、交渉に臨む者だと思う」と述べ、「現在、大国の力を借りれば交渉は可能だ」と続けた。
この発言に対し、多くの死者を出しながらもロシア占領地域の完全奪還を図るウクライナ政府はすぐに反応した。
「我々の旗は黄色と青だ。この旗のもとに我々は暮らし、死に、勝利を収めている。決して他の旗を掲げることはない」。ウクライナのドミトロ・クレバ外相は10日、ソーシャルメディアにこう投稿した。
「善と悪を同じ土俵に並べて『交渉』と呼ぶのではなく、善と悪の戦いで善に味方する者こそが最強だ」(クレバ外相)
教皇の発言には欧州各国からも非難の声が上がった。
ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相は10日、X(旧ツィッター)に「そうであれば、(ロシア大統領の)プーチン氏にもウクライナから軍を撤退させる勇気を持つよう勧めてはどうか」と投稿した。「そうすれば交渉の必要もなく、すみやかに平和が訪れるだろう」
ラトビアのエドガルス・リンケービッチ大統領も、「悪を前にして降伏してはならない。悪と戦い、悪を打ち負かし、悪が白旗をあげて降伏するようにしなければならない」とXに投稿した。