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米英軍のフーシ攻撃、使用した兵器の種類は?

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米英軍のイエメン攻撃の様子/social media

米英軍のイエメン攻撃の様子/social media

(CNN) 米英両軍は再三の警告の末、イランを後ろ盾とするイエメンの反政府武装組織フーシを攻撃した。紅海の商船への攻撃に報復するとの脅しを実行に移した形だ。

米英は12日未明、闇に包まれた空と海からイエメンの目標に向けミサイルや爆弾を発射した。以下に両国が使用した兵器や軍事装備について分かっていることを挙げる。

トマホークミサイル

誘導ミサイル駆逐艦「バリー」が「オデッセイの夜明け」作戦でトマホークを発射する様子=2011年3月29日/U.S. Navy/Getty Images/File
誘導ミサイル駆逐艦「バリー」が「オデッセイの夜明け」作戦でトマホークを発射する様子=2011年3月29日/U.S. Navy/Getty Images/File

米海軍のトマホーク対地攻撃ミサイル(TLAM)は低空飛行の巡航ミサイルで、数百キロ内陸部まで通常弾頭を運搬することができる。

米海軍のファクトシートによると、水上艦や潜水艦から発射されたトマホークは防空システムをかいくぐる「回避」経路、ないし非直線経路を亜音速で飛行する。

トマホークの正確性は非常に高い。全地球測位システム(GPS)で誘導されているため、必要に応じて目標や飛行経路を変更することも可能だという。

ファクトシートには「トマホークは目標地域の上空を徘徊(はいかい)して、不意に出現する目標に対応したり、搭載カメラで指揮官に戦闘損害情報を提供したりすることができる」との記述もある。

米国は1991年、イラクの独裁者フセイン大統領(当時)の部隊に対し初めてトマホークを使用した。以降、他の紛争でも何度か使用されている。

誘導ミサイル潜水艦「フロリダ」

スエズ海峡を通過する誘導ミサイル潜水艦「フロリダ」/Elliot Schaudt/US Navy Central Command/Handout/Reuters/File
スエズ海峡を通過する誘導ミサイル潜水艦「フロリダ」/Elliot Schaudt/US Navy Central Command/Handout/Reuters/File

潜水艦「フロリダ」は米海軍が保有する4隻の誘導ミサイル原子力潜水艦(SSGN)のひとつ。

海軍のファクトシートによると、フロリダはもともと核弾頭を搭載するオハイオ級弾道ミサイル潜水艦だったが、2005年から07年にかけて姉妹艦の「オハイオ」「ミシガン」「ジョージア」とともに誘導ミサイル潜水艦に改造された。

潜水艦のサイズや出力が比較的大きいことから、トマホーク巡航ミサイルを154発搭載できる。この数字は米国の誘導ミサイル駆逐艦の1.5倍以上、米海軍の最新鋭攻撃潜水艦の4倍近い。

「SSGNは大量の火力を迅速に運搬できる」。米海軍の退役大佐で、米太平洋軍統合情報センターの作戦責任者を務めたこともあるカール・シュスター氏は2021年、CNNの取材にそう指摘した。

「154発のトマホークは大きな打撃を正確に与える。どんな対抗勢力もその脅威を無視できない」(シュスター氏)

米海軍が多数の駆逐艦を集結させれば、これをさらに上回る数のミサイルを発射することも可能だが、スタンドアローン(単独運用)型で探知が難しいオハイオ級誘導ミサイル駆逐艦は米国の保有兵器の中で唯一無二の存在だーー。ランド研究所の研究員に転身した米海軍退役大佐、ブラッドリー・マーティン氏も21年にそう指摘していた。

「SSGNは依然、通常型ミサイルの運搬能力という点で他の追随を許さない」(マーティン氏)

その火力の大きさが示されたのは2011年3月。フロリダは「オデッセイの夜明け」作戦で、リビアの目標に向け100発近いトマホークを発射した。SSGNが実戦で使用されたのはこれが初めてだった。

フロリダは原子炉がタービン2基に蒸気を供給し、そのタービンが潜水艦のプロペラを回転させることで推進する。海軍はフロリダの航続距離を「無限」と形容。連続潜航能力の制約となるのは、乗組員の食料を補給する必要性のみだという。

米海軍の誘導ミサイル駆逐艦

アーレイバーク級誘導ミサイル駆逐艦「フィッツジェラルド」=17年6月1日/U.S. Navy/Handout/Reuters/File
アーレイバーク級誘導ミサイル駆逐艦「フィッツジェラルド」=17年6月1日/U.S. Navy/Handout/Reuters/File

米国防総省によれば、フロリダ以外にも、複数の米水上艦がフーシにトマホークを発射した。

米海軍水上艦隊の屋台骨をなすのはアーレイバーク級誘導ミサイル駆逐艦で、70隻近くが就役中。

最大排水量9700トンを誇るアーレイバーク級は防御用、攻撃用を問わず幅広い兵装を搭載している。

これらの駆逐艦はVLS(垂直発射システム)を使ってトマホーク巡航ミサイルを配備する。それぞれの駆逐艦には建造時期に応じて90~96基のVLSが搭載されている。

英戦闘機「タイフーン」

英王立空軍の戦闘機「タイフーン」。韓国の烏山空軍基地から離陸する様子=16年11月8日/Kyodo/AP/File
英王立空軍の戦闘機「タイフーン」。韓国の烏山空軍基地から離陸する様子=16年11月8日/Kyodo/AP/File

双発単座の戦闘機「タイフーン」は英航空部隊の主力機だ。

英王立空軍のファクトシートによると、タイフーンの飛行速度はマッハ1.8、飛行高度は約16.7キロに達する。

タイフーンは北大西洋条約機構(NATO)加盟国にマルチロール(多用途)戦闘機を提供する目的で、防衛企業連合によって開発された。強力な兵器プラットフォームでもあり、各種の空対空ミサイルや空対地ミサイル、精密誘導弾を搭載できる。

英防衛省によると、対フーシ攻撃に参加した4機は500ポンド爆弾の「ペイブウェイIV」を運搬した。

「ペイブウェイIV」には尾翼が付いており、レーザー照射や受信したGPS座標の指示をもとに目標に誘導する際の助けとなる。

英国のタイフーンは長距離飛行を可能にする空中空輸機「ボイジャー」の支援を受けた。英国防省は出撃地点を公表していないが、シャップス国防相が投稿した動画には、タイフーンが夜間に陸上の滑走路から離陸する様子が映っている。

本稿はCNNのブラッド・レンドン記者による分析記事です。

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