ANALYSIS

ロシア、ウクライナで北朝鮮のミサイル使用 アジアにとって悪い知らせ

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ウクライナ中部のドニプロで、ロシア軍の攻撃により破壊されたショッピングセンター/ Emergency Service of Ukraine in Dnipropetrovsk region/Handout via REUTERS/File Photo

ウクライナ中部のドニプロで、ロシア軍の攻撃により破壊されたショッピングセンター/ Emergency Service of Ukraine in Dnipropetrovsk region/Handout via REUTERS/File Photo

韓国・ソウル(CNN) 米ホワイトハウスは4日、ロシアが過去1週間で2度、北朝鮮から供与された短距離弾道ミサイルをウクライナに撃ち込んだと明らかにした。北朝鮮によるロシア支援の「エスカレート」を指摘し、欧州の戦争と朝鮮半島の安全保障の両方に重大な影響があるとの認識を示した。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー報道官によると、北朝鮮製ミサイルがウクライナに発射されたのは12月30日と1月2日。ウクライナ政府によると、新年休暇とほぼ時を同じくして、少なくとも500のミサイルとドローン(無人機)がウクライナに向けて発射された。

12月30日の攻撃で使われたミサイル1発は野原に落下し、1月2日の攻撃では複数のミサイルが使用されたという。カービー氏は、1月2日に発射されたミサイルの影響については評価中だと説明。ロシアの「大規模」攻撃の一環だと言い添えた。

「我々の制裁や輸出管理の影響で、ロシアは国際舞台での孤立を深めており、志を同じくする国に頼らざるを得なくなっている」「我々が公に警告してきたように、そうした国家の一つが北朝鮮だ」とも指摘した。

カービー氏やCNNの取材に応じたアナリストは、ウクライナへの北朝鮮兵器の投入について、7500キロ東に離れた朝鮮半島にも影響が及ぶとの認識を示す。

カービー氏は「北朝鮮によるロシア支援の重大かつ懸念すべきエスカレーションだ」と指摘。「ロシアと北朝鮮は今回の発射から学習するだろう」と述べた。

アナリストも同様の見方を示し、ウクライナの戦場で北朝鮮製ミサイルが使用されることで、北朝鮮政府は兵器実験では得られないデータを入手できると指摘する。

英国際戦略研究所で防衛・軍事分析を担当するジョセフ・デンプシー研究員は「これらのミサイルがより実戦に近い環境、北朝鮮のプロパガンダ機構の外でどう性能を発揮するか興味深い。特に正確性に関する情報があるか、誘導システムが使用されているかが注目される」と語った。

カービー氏はホワイトハウスでの会見で、韓国や東アジア地域への影響は北朝鮮のミサイル開発能力の高度化だけにとどまらないとの見方も示した。

「北朝鮮は自らの支援と引き換えに、ロシアから軍事支援を引き出そうとするとみられる。戦闘機や地対空ミサイル、装甲車、弾道ミサイル製造装置、戦争物資その他の高度な技術もその中に含まれる」(カービー氏)

「朝鮮半島やインド太平洋地域にとって懸念すべき安全保障上の影響が出るだろう」

カービー氏が挙げた地域では、韓国や米国、日本をはじめとする北朝鮮の敵国が圧倒的に優位に立っていると見られている。

例えば、この3国はF35ステルス戦闘機を保有しており、北朝鮮の防空網への侵入を図るうえで大きな優位性をもたらしている。だが、もし北朝鮮が高度な追跡レーダーを搭載したロシアの現代的な地対空ミサイルを入手すれば、F35の優位性は大きく削(そ)がれる可能性がある。

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