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ロシア、新司令官任命で立て直し図る プーチン氏の勝利宣言に間に合うのか

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ロシア軍が撤退したウクライナ首都郊外に残る焼け焦げた車両と同軍の装備品/Mykhaylo Palinchak/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

ロシア軍が撤退したウクライナ首都郊外に残る焼け焦げた車両と同軍の装備品/Mykhaylo Palinchak/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

ウクライナ・リビウ(CNN) ロシアのプーチン大統領はこのほど、ウクライナでの戦争を統括する司令官を新たに起用した。ロシア軍の指揮官らは戦争が新たな局面を迎え、ドンバス地方に残るウクライナ支配地域の制圧に注力するときが来たと示唆している。

ウクライナ国民はその脅しを言葉通りに受け止めている様子だ。東部のドネツク、ルハンスク両州では、地元当局者が地域住民に避難を促し、民間人が国内のより安全な地域に避難できるよう人道回廊を開設した。

ハルキウ州北東部では、バルビンコベとロゾバで当局が避難を進めている。ウクライナ中東部の中心都市ドニプロでは、フィラトフ市長が女性や子ども、高齢者に避難を要請した。

「ドンバスの状況は徐々に激化しつつある。4月は激戦になる」と市長は最近述べ、「だから大きなお願いだ。私が繰り返し言っているように、逃げられる人は逃げてほしい。これは何より、重要インフラの仕事に関わっていない女性や子ども、高齢者に当てはまる」と呼び掛けた。

それでは、ロシアは東部で新たに猛攻勢を仕掛けることができるのだろうか。米マクサー・テクノロジーズが収集・分析した最新の衛星画像には、長さ約13キロに及ぶ軍の車列がウクライナ東部の町を南下し、ハルキウ市東郊に向かう様子が映っている。

ウクライナ内務省のデニセンコ顧問は9日の全国テレビで、ハルキウは「ほぼ一日中砲撃にさらされている」と説明。ロシア軍はハルキウ州でイジュームの方角から攻勢をかけることが予想されると述べた。

軍事の専門家や西側当局者からは、ロシア軍の指揮官らは1945年のナチス・ドイツ撃破を祝う5月9日の戦勝記念日までに一定の結果を出すプレッシャーを感じているとの観測も出ている。ただ、米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」は新たな分析で、ドンバス地方での局面打開に必要な戦力を集中投入する能力がロシアにあるか疑問視した。

ISWの分析では「ロシア軍がドンバスに展開する大規模かつ戦闘可能な機械化部隊を数カ月以内に集めるのは難しいだろう」「大きな損失を被った部隊を一部再建し、散発的に攻勢作戦に投入する状況が続くとみられる。戦果は限定的で、大きな代償を伴う」としている。

軍事アナリストや観測筋の間では、ロシア軍は特に首都キーウ(キエフ)と北部の防衛に当たるウクライナ軍から痛手を受けており、再編に苦慮するかもしれないとの指摘が上がる。

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