ANALYSIS

極右「アゾフ大隊」、ウクライナの抵抗で存在感 ネオナチの過去がロシアの攻撃材料に

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子ども向けの準軍事的キャンプで号令を掛け合う生徒たち=キエフ郊外、2017年/Efrem Lukatsky/AP

子ども向けの準軍事的キャンプで号令を掛け合う生徒たち=キエフ郊外、2017年/Efrem Lukatsky/AP

「デス・スター」

アゾフ運動の右翼的な世界観は明らかだが、米国務省がアゾフ大隊を「国際テロ組織」に指定すべきかどうかには激しい議論がある。

レカウェク氏は「人々は常にアゾフ連隊とアゾフ運動を『デス・スター』のような単一の組織だと考えてきた」「アゾフ連隊とアゾフ運動の間のつながりは年々緩やかになりつつある」と述べ、現在の隊員の中にはネオナチの過去に共感しないウクライナ人もいると説明する。

リッツマン氏によると、ウクライナ軍内の極右分子は、ドイツ軍や米軍など他軍に見られるものと変わらない。

「おそらく他のすべての軍隊と同様、極右過激主義者はウクライナ軍内にもいる。正確な数に関する有効なデータを手に入れることは不可能だ」と指摘する。

「15年当時、アゾフ連隊は隊員の中の10~20%が極右過激主義者だと主張していた」ものの、今日では減少した可能性があるという。

民間人向けの基礎的な戦闘訓練で武器を構える79歳の女性。訓練を運営するのはアゾフ大隊だ=2022年2月13日/Vadim Ghirda/AP
民間人向けの基礎的な戦闘訓練で武器を構える79歳の女性。訓練を運営するのはアゾフ大隊だ=2022年2月13日/Vadim Ghirda/AP

ただ、アゾフ連隊は依然としてヴォルフス・アンゲルのシンボルを使用しており、かつて部隊の指揮官だったアゾフ運動の指導者たちは今も同連隊のもとを訪れている。そう指摘するのは、ウクライナの極右を専門とするウクライナ系米国人のジャーナリスト、オレクシー・クズメンコ氏だ。

クズメンコ氏はCNNの取材に「アゾフ連隊の現在の指導者、レディスことデニス・プロコペンコ氏は14年からアゾフ運動の中核メンバーで、後にアゾフ運動の政治部門や現場部門を率いる複数の指揮官の下で働いてきた」と指摘した。

プロコペンコ氏の側近のスヴャトスラフ・パラマー氏は、運動の創設者であるビレツキー氏をはっきり称賛し、「連隊に本当に投資してくれるスポンサーを見つける指導者」と評しているという。

クズメンコ氏によると、21年の時点で、アゾフ連隊はアゾフ運動の青年指導者の訓練に積極的にかかわっていた。アゾフ連隊のウェブサイトにはアゾフ運動のユーチューブチャンネルへのリンクが掲載されている。

「ウクライナと欧米がこうした問題への対策を怠った結果、侵攻の正当化を図るプーチン氏が文字通りウクライナ人に対する兵器として活用することが可能になった」とクズメンコ氏は指摘する。

「ウクライナの極右が選挙で最小限の支持しか得ていないとの指摘は正しいが、アゾフはマイノリティーに対する暴力をほぼ見逃されてきた。軍や治安部隊内で影響力を構築する彼らの取り組みには歯止めがかからず、ウクライナの指導者によって正常なものとされてきた」(同氏)

アゾフ大隊のプロコペンコ氏は30日、CNNへの声明で、「我々をナチスと呼ぶ者は誰であれ全く誤りだ。我々はウクライナの独立のために命をささげ、敵の戦車の下に身を投げる若く勇敢な兵士を擁している」と述べた。

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