NATO第5条とは何か? ロシアのウクライナ侵攻にはどう適用されるのか?

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ロシアによるウクライナへの侵攻に対し、NATO条約の第5条はどう適用され得るのか/MIKHAIL KLIMENTYEV/AFP/Sputnik/Getty Images

ロシアによるウクライナへの侵攻に対し、NATO条約の第5条はどう適用され得るのか/MIKHAIL KLIMENTYEV/AFP/Sputnik/Getty Images

ワシントン(CNN) ロシアの一方的なウクライナ侵攻により、米国はどう関与すべきかという議論が活発化している。

米政府関係者は、米軍とロシア軍との直接交戦はないと明言し、北大西洋条約機構(NATO)加盟国も「ヨーロッパでの全面戦争」につながる恐れがあるとして、ウクライナ上空の飛行禁止区域の設定要請を退けている。

しかし、ロシア政府によるウクライナ攻撃がNATO加盟国の1つに飛び火し、条約第5条の原則に基づいた措置が取られることになれば、状況は急展開しかねない。

だが条約第5条とは何なのか? ウクライナで進行中の戦争にはどう適用されるのか?

以下、頭に入れておくべき点を挙げてみた。

条約第5条とは何か?

第5条とは、NATO加盟国の1つに対する攻撃はNATO全体の攻撃とする、という原則だ。1949年にソビエト連邦の対抗勢力として設立されて以来、これが30カ国からなる同盟の基盤だった。

この原則の目的は、仮想敵国によるNATO加盟国への攻撃を抑制することだ。第5条は、同盟全体の資源を動員していずれかの加盟国を保護することができる、と保証している。同盟国なしでは防御の術がない小国にとっては非常に重要だ。例えば、アイスランドは常備軍を持っていない。

NATOの中でも米国は最大かつ最強の加盟国であるため、他の国はいずれも実質的に米国の保護下に置かれている。

NATOのウェブサイトは、第5条についてこのように説明している。

「締約国は、欧州または北米における1国または複数の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすことに同意する。したがって締約国は、このような武力攻撃が行われたときには、国連憲章第51条の規定によって認められている個別的または集団的自衛権を各締約国が行使し、北大西洋地域の安全の回復および維持のために必要と認められる行動(兵力の使用を含む)を、個別的にかつ他の締約国と共同で執ることにより、その攻撃を受けた締約国を即座に援助することに同意する。

このようないかなる武力攻撃、およびその結果として講じたあらゆる措置は、直ちに(国連)安全保障理事会に報告されるものとする。かかる措置は、安全保障理事会が国際平和および安全の回復と維持に必要な措置を講じたときは、終止されるものとする」

冷戦時代の主な懸念はソ連だった。だが近年は、東欧でのロシアの侵略行為が焦点となっている。

これまでに第5条が発動されたことはあるのか?

第5条は過去に1度しか発動されていない。2001年9月11日、米国に対する同時多発テロの後だ。

だがNATO第5条の原則は、自国領土への攻撃以外にも拡大解釈される。これまでにもNATOは何度か集団的自衛措置を講じてきた。12年にはシリアとトルコの国境にパトリオットミサイルを配備し、14年にはロシアによるクリミア併合を受け、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドで兵力を強化した。

NATO同盟国も、アフガニスタンやイラク、シリアで米軍とともに戦闘に加わっている。

第5条はロシアのウクライナ攻撃にどう適用されるのか?

ウクライナはNATO加盟国ではないため、米国はNATO加盟国が攻撃された時のように、同国を守る義務はない。

だが、ウクライナの隣国の多くはNATOに加盟している。仮にロシアの攻撃がそれらの国々の1つに及べば、第5条の発動により米国を始めとするNATO加盟国の直接関与もあり得る。

何がNATO加盟国への攻撃とみなされるのか?

第5条の文言は、集団的行動を引き起こすのは加盟国への「武力攻撃」である、と明記している。

だが何をもって「武力攻撃」とみなすかはNATO加盟国に委ねられている。ロシアの攻撃的な姿勢から、NATOの反応を誘発することが狙いではないか、という懸念もすでに広がっている。

例えば、先ごろバージニア州選出のマーク・ワーナー民主党上院議員は、ロシアによるウクライナへのサイバー攻撃により、当初の狙いの「地理的国境」を越えて影響が広がり、NATO加盟国にも被害が及びかねない、とワシントンポスト紙に語った。

「ポーランドやルーマニア、バルト海諸国にまで拡大し、病院の閉鎖といった被害が起きる可能性もある。ひょっとすれば、現地には米軍もいるのだから、停電が原因で米軍のトラックが衝突事故に遭うようなことになれば第5条適用に極めて近づくことになるだろう」と、上院諜報特別委員会の委員長でもあるワーナー氏は同紙に語った。

欧州最大の原子力発電所、ザポリージャ原子力発電所をロシアが攻撃した際にも同様の懸念が持ち上がった。地元当局は同地域の「放射能レベルに変化はない」と述べているものの、仮に放射能がNATO加盟国にまで漏洩(ろうえい)していたらどうなっていただろう?

「それは同盟側の問題だ」と、米国防省のカービー報道官は今月初めにCNNに語った。「厳密には、NATOが第5条を発動するのは武力攻撃だと明記されていることを改めて申し上げておきたい。……しかし、それをどう解釈するかは――NATOが決定することだ」(カービー氏)

米政府関係者は第5条についてどう発言しているか?

米国のブリンケン国務長官は、NATO第5条に対する米国と同盟国の責任をあらためて強調し、「NATO加盟国やNATO領域のいかなる場所にも攻撃があった場合、我々米国は全ての同盟国や友好国とともに行動をおこし、NATO領域を隅々まで守り切る。単純明快だ」と述べた。

米外務省幹部の発言も、「集団的な力を総動員し、NATO同盟国の領域を隅々まで守り切る」というジョー・バイデン大統領の一般教書演説の公約とほぼ変わらない。

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