ベネズエラ海軍船がクルーズ船に体当たり、自らが沈没
(CNN) 南米ベネズエラの北部沖合で、同国海軍の小型船がクルーズ船に繰り返し体当たりして損傷し、浸水により沈没する出来事があった。
体当たりを受けたのはドイツのクルーズ船「RCGSレゾリュート」。所有会社によると、3月31日午前に公海上で整備を行っていたところ、接近してきた海軍の武装船から針路変更を命じられた。
その後事態は海軍船が発砲する事態となりエスカレート。海軍船は135度の角度で右舷に急接近してきて、故意に衝突したという。
コロンビア・クルーズ・サービス社は声明で、海軍船は右舷船首への体当たりを繰り返したと説明。「ベネズエラ領海の方向に針路を向けさせる狙いだったとみられる」と述べた。
ただ、RCGSレゾリュートには海氷の中を航行できるように、鉄板による強化が施されている。
RCGSレゾリュートは軽微な損傷を受けたものの、安全に航行する能力には影響が出なかった。一方、海軍船の側は、耐氷強化を施したRCGSレゾリュートの船首に接触したことで「大きな損傷」を被り、浸水する結果となったという。
RCGSレゾリュートには船員32人が乗っていたが、乗客はいなかった。ベネズエラ海軍によると、沈没船の船員は無事救助された。
海軍は事案の発生は認めたものの、経過の説明は異なっている。
ベネズエラ側は、今回の事案は31日未明、トルトゥガ島付近の領海内で発生したと発表。一方、コロンビア社は発生場所をキュラソー島ウィレムスタット付近の公海上としている。
ベネズエラ国防省はRCGSレゾリュートについて、同国への攻撃準備をした傭兵(ようへい)を運んでいた可能性を示唆した。マドゥロ大統領は米国やその同盟国が政権転覆を図っていると批判することが多い。世界の多くの国々が反体制派のグアイド国会議長を支援している。