水没する炭鉱の町、10年で10万人が強制移住 中国
中国・済寧市(CNN) 中国の北西部、山東省済寧市に住むシャオさんは、2階建ての家を新築してから4カ月後、居間の壁に大きなひび割れを見つけて動揺した。周囲の村が沈むのを目にしてきており、シャオさんは、長い間の心配が現実のものとなったことを知った。
シャオさんは「この日が来ることは分かっていたが、こんなに早いとは思っていなかった」と語る。こうしてシャオさんは4世代にわたって住み続けてきた土地から離れなければならなくなった。
シャオさんの住む済寧市は「炭鉱の町」として知られている。地下には石炭の鉱床が蜂の巣のように走り、これが巨大な陥没穴の原因となっている。
10年前、シャオさんが住むこの地域は農業が活発なところだった。しかし、今では毎年2000万平方メートル分の陥没穴が発生しており、過去10年間で推計10万人が移住を余儀なくされた。
当局によれば、2090年までには町の3分の1が陥没し、推計500万人がそのせいで避難を強いられるとみられている。
ここは土地が低く、陥没穴にはすぐに水がしみこんでくる。元市長は地元紙の取材に対し、済寧市がイタリア・ベネチアのように水に沈んでしまうのではないかと危惧していると語っている