故エプスタイン氏は自殺、「顧客リスト」もなし 米司法省が発表
故エプスタイン氏の「顧客リスト」は存在せず 米司法省
(CNN) 性的人身売買の罪で起訴され、公判前に拘置所で死亡した米国の富豪ジェフリー・エプスタイン氏に関する衝撃の新情報を公開すると明言してから数カ月、司法省は7日付のメモの中で、同氏が「顧客リスト」を所持していた証拠はないと発表した。拘置所での死因も自殺だったとした。
司法省はまた、この件についての新たな情報を今後公開する計画はないとも明らかにした。
今回の発表はトランプ大統領の約束と矛盾する。トランプ氏は以前、エプスタイン氏にまつわる政府文書のさらなる公開について発言していた。一方、発表の内容は右派が長年支持してきた陰謀論にも逆行する内容となっている。
無署名の当該のメモは「組織的な検証の結果、犯罪と結びつく『顧客リスト』の存在は認められなかった」と説明。「エプスタイン氏が活動の一環として有力者たちを脅迫していたとする信頼できる証拠はなかった。告発されていない第三者に対する捜査の根拠となり得る証拠も明らかにならなかった」とした。
司法省と連邦捜査局(FBI)による今回の判断の詳細は、アクシオスが最初に報じた。
司法省はこの他、10時間に及ぶ拘置所の監視カメラの映像も公開。その内容からエプスタイン氏が自殺した日、同氏の居房に入った者は誰もいないことが分かった。
右派系のメディア関係者は長年、政府がエプスタイン氏にまつわる秘密を隠していると主張してきた。それは同氏が「顧客リスト」を所持し、自身の手引きで性的人身売買に絡む犯罪に手を染めた複数の有力者を脅迫しているという内容だった。
司法省は今年2月、「エプスタイン文書」の第1段階として同氏への捜査に関連する一連の文書を公開。そのほとんど全ては既に共有された内容だったが、ボンディ司法長官はさらなる情報を明らかにすると約束していた。
今回の発表が報じられると、すぐにオンライン上では激しい怒りの声が噴出した。最も目を引いたのはトランプ氏のかつての盟友、イーロン・マスク氏によるもので、X(旧ツイッター)のアカウントにゼロ表示されたデジタルのスコアボードの画像を投稿。ボードには「ジェフリー・エプスタイン小児性愛事件の公式逮捕者数」というタイトルが付けられている。
またある右派の活動家は、エプスタイン氏の元恋人で長年の共犯者だったギレーヌ・マクスウェル受刑者に言及。「顧客が存在しないなら、なぜギレーヌ・マクスウェルはまだ刑務所にいるのか?」と疑問を呈した。
別の活動家は顧客リストに関するボンディ司法長官の以前の発言に触れ、「あの時彼女は嘘(うそ)をついていたのか、それとも今ついているのか? 我々は答えを知るべきだ」と主張した。
司法省の報道官は7日、CNNの取材に答え、ボンディ氏がかねてエプスタイン氏関連の捜査の全文書として公言していたのは航空機の運航記録などであり、特定の顧客リストではなかったと説明した。