トランプ氏とマスク氏決裂、側近が仲介試みるも「エプスタイン文書」疑惑で暗礁に
(CNN) トランプ米大統領と実業家イーロン・マスク氏が決裂した5日。板挟みとなった複数の側近は和解を仲介しようと慎重に動いていたが、そうした水面下のやり取りはX(旧ツイッター)への1本の投稿で打ち砕かれた。
マスク氏は「大きな爆弾を落とす時が来た。@realDonaldTrumpはエプスタイン文書に名を連ねている。文書が一般公開されていない真の理由はそれだ。良い1日を、DJT!」と書き込み、双方に近い関係者をあ然とさせた。
舞台裏で何が起きていたのかを知る複数の関係者は、これが転換点になったと振り返る。関係者は必死に電話を交わし、激しさを増す対立の沈静化を模索していた。しかし、マスク氏が「エプスタイン文書」に関わる重い批判をトランプ氏に向けたことを受け、もはや後戻りできないとの懸念が広がった。
当初、トランプ氏とマスク氏はおおむね政策を巡って言い争っていたが、ここにきて個人攻撃に転じた。
トランプ、マスク両氏に近い関係者の一部は、2人の間で電話会談が行われれば、激しい対立が収まる可能性もあると期待する。ただ、それが6日中に実現するかは不透明だ。
ホワイトハウス西棟の当局者は5日の大半を携帯電話にくぎ付けになって過ごし、Xやトゥルース・ソーシャルで展開される両氏の応酬を見守っていた。グループチャットで経過を共有していた側近らは今回の決裂を「離婚」になぞらえ、いずれそうなるとは思っていたが、これほど早いとは予想していなかったとコメントした。
当局者の一人はCNNの取材に、「おそらく8月だろうと思っていた」と語った。
ホワイトハウスのレビット報道官は5日夜、CNNに声明を寄せ、マスク氏の主張を「残念なエピソード」と評した。
「今回の一件は、自身の望む政策が盛り込まれなかった『一つの美しい大きな法案』に不満を抱くイーロンによる残念なエピソードだ。大統領は歴史的法案を可決させ、我が国を再び偉大にすることに専念している」(レビット氏)
マスク氏は自殺した金融業者ジェフリー・エプスタイン被告に関する未公開文書へどうやってアクセスしたのか詳しく説明しておらず、情報源についての証拠も提示していない。
右派メディアの関係者は長年、政府がエプスタイン被告に関する秘密を隠しているとの見方を示してきた。エプスタイン被告は小児性愛者で、連邦の性的人身売買罪での公判を控えた2019年に自殺した。こうした陰謀論には多くのバージョンがあり、凶悪犯罪に手を染めた他の有力者のリストを政府が隠ぺいしていると主張する内容。