極端な暑さが熱帯鳥類脅かす、手つかずの森林でも危険 科学者が警告

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豪クイーンズランドに生息するオウゴンニワシドリ/sohnjoo c 2013/imageBROKER/Shutterstock

豪クイーンズランドに生息するオウゴンニワシドリ/sohnjoo c 2013/imageBROKER/Shutterstock

(CNN) 中南米の熱帯雨林からオーストラリア北部のサバンナに至るまで、世界の赤道地域には、コンゴウインコ、オオハシ、ハチドリなど、高温多湿の環境で繁栄する数千種もの固有の鳥類が生息している。

しかし、気候変動が加速するにつれ、熱帯地域では40年前と比べて危険なほど暑い日の数が10倍に増加しており、世界で最も色鮮やかな鳥類の生存が脅かされていることが、新たな研究で明らかになった。

ネイチャー・エコロジー・エボリューション誌に掲載された研究によると、1950年から2020年の間に、極端な暑さによって熱帯鳥類の個体数が25%から38%減少した。

この研究は、極端な熱波が「種の喪失の主な要因」であることを示しており、地球上で最も自然が豊かな地域でさえ鳥類の個体数が減少している理由を説明できるとしている。豪クイーンズランド大学の保全科学教授で、この研究論文の著者の一人であるジェームズ・ワトソン氏はそう述べた。

ワトソン氏と同僚たちは、3000以上の鳥類の個体群から得られた9万件以上の科学的観察を分析。1940年まで遡(さかのぼ)る日々の気象記録と照合することで、鳥類の個体群が降雨や熱波などの極端な気象現象にどのように反応したかを調べた。

彼らは気候変動の影響に特に焦点を当てるため、人間の産業活動に関するデータとの比較検討を行った。

その結果、極端に暑い(上位1%以内の高温)にさらされると、北緯55度または南緯55度以下の緯度で鳥類の個体数が減少することが分かった。最も深刻な影響は熱帯地方、つまり緯度23度以下の地域で認められた。

論文著者らは、気候変動による年間平均気温の上昇よりも、極端に暑い気温の増加が鳥類にとってより有害であることを突き止めた。

中米コスタリカ・ボカタパダで枝に止まるムナフチュウハシ/Ondrej Prosicky/imageBROKER/Shutterstock
中米コスタリカ・ボカタパダで枝に止まるムナフチュウハシ/Ondrej Prosicky/imageBROKER/Shutterstock

鳥類の個体数が急激に減少しているという考えは新しいものではない。2019年の調査によると、米国とカナダの鳥類の個体数は1970年以降30%減少した。これは約30億羽の鳥が姿を消したのに等しい。

しかしこの減少の多くは、農業、森林伐採、鉱業に由来する生息地の喪失、さらには建物との衝突など、より直接的な人間の影響によるものとされる。

今回の研究は、熱帯地域の鳥類にとって猛暑がもたらす脅威を強調し、生物多様性にとっての安息の地とみなされる遠隔地や保護地域でさえ鳥類が死滅している理由を説明する一助となる。

研究によると、パナマとアマゾンの二つの手つかずの熱帯雨林では、それぞれ77年から2020年、03年から22年の間に、種の大半で鳥類の個体数が50%以上減少した。

南米コロンビア・レティシア近郊に生息するコンゴウインコ/Raul Arboleda/AFP/Getty Images
南米コロンビア・レティシア近郊に生息するコンゴウインコ/Raul Arboleda/AFP/Getty Images

鳥は猛暑にさらされると、体温が危険なレベルまで上昇する熱中症になる可能性がある。鳥は汗をかくことができないため、このような状況下では、熱を逃がそうとしてハアハアと息を切らしたり、皮膚をより露出させたりすることがある。

鳥は脱水症状や見当識障害に陥り、場合によっては意識を失って止まり木から落ちてしまうこともある。猛暑にさらされると、鳥の臓器に損傷が生じ、繁殖能力が低下する可能性もある。

前出のワトソン氏は、この研究について「温室効果ガスの排出と気候変動が生物多様性にとって大きな問題であるという、新たな警鐘となるはずだ」と述べた。

「気候変動の抑制を最優先戦略とする必要がある。そうでなければ、熱帯地域で膨大な数の種が失われてしまうからだ」(ワトソン氏)

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