ANALYSIS

「第3の候補」ケネディ氏、討論会に参加の可能性も 世論調査で一定の支持

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無所属で出馬しているロバート・ケネディ・ジュニア氏/Michael M. Santiago/Getty Images/File

無所属で出馬しているロバート・ケネディ・ジュニア氏/Michael M. Santiago/Getty Images/File

(CNN) 11月に本選を迎える米大統領選をめぐり、無所属で出馬しているロバート・ケネディ・ジュニア氏が先ごろ、脳内に入った寄生虫が脳の一部を食べたと公表したことで選挙戦の流れは、より奇妙なものとなった。ケネディ氏によれば、寄生虫による負傷からは回復しており、「もう5匹の寄生虫を食べても」、討論会で、トランプ前大統領やバイデン大統領を打ち負かすことができると主張している。

こうした記事や引用を目にすると、今年の選挙戦でのケネディ氏の存在は余興のようなものだと思われる可能性がある。しかし、それほど真実からかけ離れたものはないかもしれない。

世論調査に目を向ければ、ケネディ氏は、1996年のロス・ペロー氏以来、どの無所属候補よりも高い支持率を得ている。ケネディ氏の支持者の多くが、ケネディ氏が何のために立候補しているのか、よく分かってさえいないのではあるが。ケネディ氏はさらに、ペロー氏が96年に行えなかったこともできるかもしれない。秋の討論会での主要政党候補者との対決だ。

先ごろ発表されたCNNの委託を受けた調査会社SSRSによる世論調査ではバイデン氏の苦境が話題となった。バイデン氏は一対一の対決でトランプ氏に6ポイントの差をつけられていた。ケネディ氏をはじめ、「緑の党」のジル・スタイン氏、無所属のコーネル・ウエスト氏を含んだ調査では、トランプ氏のバイデン氏に対するリードは9ポイントに跳ね上がる。あまり注目されていないが、ケネディ氏はこの調査で16%の支持率を獲得した。

2000年に緑の党の候補だったラルフ・ネーダー氏や16年に「リバタリアン党」の候補だったゲーリー・ジョンソン氏が、これほどの支持を得た世論調査は一つもなかった。

この16%という数字は重要だ。なぜなら、秋の大統領選候補者の討論会に参加するための世論調査の基準が過去24年間、15%だったからだ。他の世論調査はケネディ氏にそれほど好意的ではないものの、ケネディ氏を選択肢に含めると、ほとんどの世論調査でケネディ氏は2桁の支持を得ている。

候補者は討論会に参加するためには、少なくとも計270人の選挙人がいる州の投票用紙にも名前が記載される必要がある。これは、ケネディ氏にとって十分に可能なことだと思われる。

世論調査の平均値が鍵だ。なぜなら、ケネディ氏が討論会に参加するためには平均15%の支持率が必要となるからだ。

ケネディ氏はこれまでのところ、委員会が20年の調査で採用したメディア各社の世論調査で平均して約13%の支持率を獲得している。

指摘したいのは、第3党や無所属の候補者は選挙戦の間に世論調査の支持率が低下する傾向にあるということだ。今年は、バイデン氏もトランプ氏も好意的な評価よりも否定的な評価がかなり高いため、そうした傾向に沿うかは確実には言えない。

世論調査によれば、ケネディ氏は比較的無名の存在だ。NBCニュースによる世論調査には選択肢として「中立」や「分からない」が明示されているが、有権者がケネディ氏を評価した場合、「中立」もしくは「分からない」と答えた人が39%と多かった。肯定的な見方と否定的な見方を持つ人のうち、肯定的な見方は29%、否定的な見方は32%だった。

マイナス3ポイントという支持率はNBCが調べたどの公人よりも良い数字だった。トランプ氏とバイデン氏の支持率はそれぞれ、マイナス15ポイントとマイナス14ポイントとなっている。

しかし、39%の有権者がケネディ氏について、肯定的にも否定的にも評価していないことを考えると、ケネディ氏の正味の評価は「ソフト」と表現するのが最も適切かもしれない。

実際のところ、筆者は、ケネディ氏の支持者や潜在的な支持者がケネディ氏の政策を理解しているかどうかさえ確信が持てない。ケネディ氏はワクチンと新型コロナウイルス感染症に関する根拠のない見解のために多くの批判を浴びている。ケネディ氏が昨年、大統領選への出馬を表明すると、ワクチンや新型コロナに関する根拠のない主張が記事になった。

最近のモンマス大学の世論調査では有権者に対して、ケネディ氏が「自閉症はワクチンと関係があり、新型コロナは特定の人種の人々を攻撃することを目的としているという主張を支持している」と伝えて、世論調査の前にこうした立場について知っていたかどうかを質問した。

ケネディ氏の信条について知っていると答えたのは55%にとどまった。より興味深いのは、ケネディ氏を「必ず支持する」あるいは「おそらく支持する」と答えた人のうち、ケネディ氏の立ち位置を把握していると答えた人はわずか27%だった。73%が知らなかったと答えた。

言い換えれば、ケネディ氏の支持者となり得る人々は、多くの人々がケネディ氏の政策的な立場の重要な部分とみなしている事柄について知らなかったのだ。ケネディ氏の立ち位置を最もよく知る有権者は必ずケネディ氏に反対票を投じると答えた。

ケネディ氏を支持する有権者が同氏の立ち位置について話を聞けば聞くほど、ケネディ氏を支持する可能性は十分にある。モンマス大の世論調査では、それが現実的な可能性があることが示唆された。多くの人々にとって、ケネディ氏はワクチンの立ち位置以上の存在の可能性がある。

ワクチンや新型コロナに関する発言について知っている潜在的な支持者がこれほど少なかったという事実は、ケネディ氏がまだほとんど漠然とした存在であるという事実を示している。ケネディ氏は通常の大統領候補よりも敵からの攻撃広告に弱い可能性がある。

これは、トランプ氏とその支持者を見てきた事柄とも一致する。トランプ陣営はケネディ氏を狙っているのだ。

全米の世論調査では、一様ではないものの、ケネディ氏を支持する有権者はバイデン氏よりもトランプ氏を好むことが示されている。最近のCNNとキニピアック大学の世論調査の平均では、第3党や無所属の候補者を含めた場合にケネディ氏を選択した人の中でみると、トランプ氏とバイデン氏の一対一の対決の場合にトランプ氏を選んだ人のうち2桁台前半をケネディ氏が引き付けている。

多くは見えないかもしれないし、通常ならそうだろう。しかし、米国では最近、選挙戦が接戦となっており、こうしたわずかな数が違いを生む可能性がある。

バイデン氏やトランプ氏がケネディ氏にサプライズを許すとは考えない方がいい。今のところは、ケネディ氏は多くの米国人にとって有力な選択肢であり続けている。その状況が続くかどうか見ていこう。

本稿はCNNのハリー・エンテン記者の分析記事です。

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