英議会、親パレスチナ団体の禁止法案を可決 反テロ法根拠も非難噴出
(CNN) 英国議会は2日、英国を拠点とする団体「パレスチナ・アクション」の活動を禁止する法案を可決した。同団体はイスラエル政府に武器を供給する兵器メーカーの業務を妨害することを目的としている。
英国議会は382対26でこの団体に対する禁止措置を可決した。これに先駆け、パレスチナ・アクションの活動家2人がイングランド中部にある英国最大の空軍基地に侵入し、軍用機2機に損害を与えていた。
この禁止法案は3日に貴族院に提出される。承認されれば数日以内に発効する。
全面禁止となれば、パレスチナ・アクションのメンバーになること、あるいは同団体への支援を募ることは英国法上違法となる。この禁止措置は、パレスチナ・アクションをイスラム組織ハマス、国際テロ組織アルカイダ、過激派組織イラク・シリア・イスラム国(ISIS)などのテロ組織と同等の組織と位置づけることになる。こうした事態に対し、国連の専門家や人権団体などからは非難が噴出している。
クーパー内相は6月23日、パレスチナ・アクションの活動家2人がエアバス・ボイジャー2機のタービンエンジンに赤い塗料を吹き付けたことを受け、政府が同団体を禁止する意向について確認していた。
現場の映像には、活動家らが機体のタービンエンジンに赤い塗料を吹き付ける様子が映っている。同団体によると、これらの機体は軍用貨物の輸送と、イスラエル、米国、英国の軍用機への給油に使用されているという。
当時、国防省筋はCNNに対し、英国空軍のボイジャーはイスラエル軍向けの貨物を輸送しておらず、イスラエルの航空機への給油も行っていないと述べた。
パレスチナ・アクションは30日、政府の決定に対し訴訟手続きを開始したと発表した。同団体の共同創設者であるフーダ・アモリ氏は、今回の弾圧は「世界中の多くの権威主義体制が反体制派を抑圧するために対テロ活動を用いてきたのと同じだ」と主張した。
この禁止令が発効すれば、直接行動を目的とした抗議団体が反テロ法の下で活動を禁じられる英国史上初の事例となる公算が大きい。複数の人権擁護団体が明らかにした。
英国の対テロ警察と政府によると、この禁止令に違反した者は最長14年の禁錮刑に処せられる可能性がある。団体のメンバーまたは支持者であるとの「合理的な疑いを抱かせる」ような衣服を着用しただけでも、禁錮6カ月または罰金が科せられる場合があると警察は述べている。
人権団体は今回の動きを激しく批判。政府による一連の過酷な措置の最新事例とし、国内の正当な抗議活動を弾圧することが目的に他ならないと糾弾した。
アムネスティ・インターナショナル英国支部のサシャ・デシュムク最高経営責任者(CEO)は7月1日、国会議員に書簡を送り、パレスチナ・アクションを非合法化することは「反テロ権限の重大な濫用(らんよう)」になると警告した。
国連の専門家らも同日、高まる批判の声に加わり、「政治的抗議運動を不当に『テロリスト』と呼ぶこと」を懸念していると述べた。