加工肉の習慣的な摂取、たとえ少量でもがんや糖尿病のリスク増大 新研究
(CNN) ソーセージやベーコンといった加工肉の習慣的な摂取と、がんや2型糖尿病、心臓病といった疾患との関係を指摘する新たな研究結果が発表された。専門家は、たとえ少量でも安全とはいえないと警鐘を鳴らしている。今回の研究では加糖飲料やトランス脂肪酸の摂取によるリスク増大も指摘した。
6月30日の科学誌ネイチャー・メディシンに発表された研究では、普段の食事で摂取する加工肉と甘い飲料およびトランス脂肪酸について、2型糖尿病や大腸がん、虚血性心疾患との関係を調べた過去の60件以上の論文データを分析した。
論文を発表したワシントン州シアトルの保健指標評価研究所の研究者は、「加工肉、加糖飲料、トランス脂肪酸を少量でも習慣的に摂取することと、2型糖尿病、虚血性心疾患、大腸がんの発症リスク増大には関連がある」と指摘する。
加工肉については、ホットドッグを1日に1個食べるだけでも、一切食べない人に比べて2型糖尿病のリスクは11%、大腸がんは7%、それぞれ増大することが分かった。加糖飲料は、清涼飲料水1日あたり12オンス(約350ミリリットル)相当の摂取で2型糖尿病は8%、虚血性心疾患は2%、それぞれリスクが上昇していた。
「健康を守るために最善なのは、加工肉、加糖飲料、工業的に生産されたトランス脂肪酸の習慣的な摂取を避ける、あるいは最小限に抑えること」と英ケンブリッジ大学の専門家は強調する。
摂取量が増えるほどリスクは増大しており、加工肉については「この程度なら安全」といえる量は存在しないことが今回のデータで裏付けられたとこの専門家は指摘した。
因果関係は立証していない
ただし今回の研究データは食習慣と疾病との関係を表しているにすぎず、因果関係までは立証していない。さらに、調査対象者の食習慣に関する記憶に頼る調査方法は、対象者の思い違いに影響される可能性もある。
それでもソーセージ、ベーコン、サラミ、ハンバーガーなどの加工肉や加糖飲料は、さまざまな慢性疾患の原因となる炎症を悪化させる可能性があると米ハーバード公衆衛生大学院の専門家は解説する。
英レディング大学の専門家によれば、加工肉に使用されることの多い亜硝酸塩は、胃の中で発がん物質のニトロソアミンに変化する。
加糖飲料の問題は、大量の糖分を一気に摂取してしまうことにある。これによって体重が増えるだけでなく、代謝にも影響を与えて心臓病や糖尿病のリスクが高まる。
トランス脂肪酸は善玉コレステロールを減少させ、悪玉コレステロールを増加させると専門家は話している。