米軍、原爆投下に使ったテニアン島の飛行場を再建へ 中国への対抗

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テニアン島の北部にある飛行場の廃虚となった建物。第2次世界大戦中に使用されていた=2020年1月/Brad Lendon/CNN

テニアン島の北部にある飛行場の廃虚となった建物。第2次世界大戦中に使用されていた=2020年1月/Brad Lendon/CNN

歴史を刻んだ場所を再び利用へ

空軍の2024年会計年度予算要求ではテニアン島の建設プロジェクトに7800万ドル(約110億円)を計上している。

再建プロジェクトは米軍の「迅速な戦闘運用(ACE)」戦略の一部。空軍の方針を示す文書によれば、「集中した物理的インフラから、より小さく、分散した場所のネットワークへと運用を移行する」動きであり、「敵の計画を複雑化させ、統合軍の指揮官により多くの選択肢を与える」のが目的だという。

太平洋の米空軍戦力の多くは、グアムのアンダーセン基地や沖縄の嘉手納基地など数個の大規模な空軍基地に集中している。

こうした基地に空軍戦力が集中しすぎた場合、そこが攻撃を受ければ敵への反撃能力が瓦解(がかい)する可能性がある。

国防総省が「加速する脅威」と位置付ける中国はミサイル戦力を伸ばしている。米空軍は敵による標的設定をより難しくする目的で、部隊を分散させる場所を探している。

米空軍大学の22年の論文は「ACEはハブ・アンド・スポークの基地構成を利用して戦域全体に部隊を分散させることで、(中国の)脅威を和らげる助けとなる。行動の予測を難しくし、人民解放軍に対し米空軍戦力の効果をそぐためにより多くのミサイルを使わせる」と指摘する。

ウィルズバック氏はNikkei Asiaに「標的設定の問題を作り出すことで、多少攻撃を受けても、自軍軍隊がまだ効果を発揮できるという優位性を保てる」と語った。

空軍はACEのコンセプトを既にテニアン島で実施している。今年3月の「アジャイル・リーパー」演習ではテニアン国際空港からステルス戦闘機F22が飛び立った。

同空港は米国の戦闘機が自身で運んだり、C17輸送機が持ち込んだりする物資を当てにして行動するための環境を提供する。米空軍の声明によれば、こうした航空部隊は「紛争下にあり、機能が低下して作戦上制約のある環境でも、準備を整え、作戦遂行能力を保てる」ことを示しているという。

同演習ではテニアン島の南200キロにあるグアム島からもF22が運用された。

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