米、兵器の備蓄に懸念強まる ウクライナとイスラエルへの支援抱え

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米デラウェア州の空軍基地でウクライナに送られることになる砲弾を確認する三等軍曹/Alex Brandon/AP

米デラウェア州の空軍基地でウクライナに送られることになる砲弾を確認する三等軍曹/Alex Brandon/AP

ワシントン(CNN) ロシアの侵略が続くウクライナに加え、イスラム組織「ハマス」と軍事衝突したイスラエル軍への兵器支援も新たに迫られ、それでなくとも縮小し続ける武器弾薬の備蓄量への懸念が米国防総省内で高まっていることが21日までにわかった。

複数の同省当局者が明らかにした。現段階では、ウクライナとイスラエルが必要とする武器弾薬の種類が異なっているため、しのげる状況にあるとした。

ウクライナは主に砲門用の弾薬を大量に欲しているとし、イスラエルは精密誘導能力を持つ対空兵器の弾薬や防空システム「アイアンドーム」用のミサイル本体の供与を要請しているとした。

ただ、イスラエル軍がガザ地区への本格的な地上侵攻に踏み切った場合、155ミリ砲弾や他の兵器への需要が飛躍的に高まる事態も考えられる。これら砲弾などはウクライナの抗戦が18カ月以上に達する中で、米国や同盟国、友好国の在庫分などが手薄になっている事情もある。

イスラエルは独自の防衛産業の基盤を築き、先端兵器の多くも製造している。しかし、地上侵攻が長期戦になれば、同国の備蓄分が萎(しぼ)むことも考えられる。

米統合参謀本部と米国防総省の兵器移送部門は、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマスがイスラエルへの大規模奇襲を仕掛けて以降、世界各地で確保している武器弾薬の余剰分を調べ、イスラエルへの迅速な引き渡しの方途などを探ったという。

同省高官は最近、米国の兵器製造企業に対しイスラエルが発注済みの装備品の提供を早めるよう促したことを明らかにした。ガザ情勢が一気に悪化する前には緊急性を帯びていなかった要望ともなった。

オースティン米国防長官は、二つの戦争を抱えた中でもウクライナとイスラエルへの支援態勢を維持できる能力はあると誇示。ウクライナに対しては追加の砲弾を含む新たな援助を最近発表してもいた。この2カ国への同時の軍事協力は可能だし、そうするだろうとも強調した。

ただ、米国がイスラエルの要請に応じて差し向けた同国の武器弾薬の予備分はかつてほどの余裕がない状況にある。ウクライナ戦況を踏まえ米国と同盟国は今年、数十万単位の武器弾薬をウクライナ向けに取り崩した。ガザ情勢の悪化を受け米国防総省内で兵器支援の先行きを不安視する見方が強まる要因となっている。

占領地の奪還を狙うウクライナが消費する砲弾は数千発とされ、イスラエルがガザへの地上侵攻で使う量をはるかにしのぐとも指摘される。イスラエルのネタニヤフ首相は対ハマス戦略で長期戦を宣言しており、米国が持つ砲弾などの予備分の処理をめぐって曲折が生じる可能性も出ている。

国防総省当局者は、この2カ国への軍事支援について下院議長の選出などをめぐって機能不全状態にある米連邦議会への懸念も抱いており、新たな資金援助の是認も危惧している。

同省高官は先に、バイデン政権は現在、イスラエルを支え続ける資源、権限や資金を握っているもののさらなる資金供与などの必要性が生じた場合、連邦議会がこの緊急課題に対処することが必要との危機感を示してもいた。

一方、国防総省のシン副報道官は17日、米国によるイスラエルへの兵器支援はよどみなく続くだろうとの見解を発表。既にC17型輸送機の5機が今月12~16日に広範な軍事物資を同国に届けたと述べた。

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