ロシア大統領府へのドローン攻撃、ウクライナ人グループが実施の可能性 米諜報が示す

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米当局がクレムリンを狙った攻撃の背後にウクライナ人グループがいた可能性を示唆した/Yuri Kochetkov/EPA-EFE/Shutterstock

米当局がクレムリンを狙った攻撃の背後にウクライナ人グループがいた可能性を示唆した/Yuri Kochetkov/EPA-EFE/Shutterstock

(CNN) 今月3日に行われたクレムリン(ロシア大統領府)へのドローン(無人機)攻撃を巡り、米当局が傍受したやり取りの中に、ウクライナの当局者らが攻撃について互いを非難し合う内容が含まれていたことがわかった。ウクライナ人のグループが実行した可能性があるとの米当局の一つの評価を補強するものとなる。諜報(ちょうほう)活動に詳しい複数の情報筋がCNNの取材で明らかにした。

傍受した内容には、ウクライナの軍と情報機関に所属する複数のメンバーによるやり取りが含まれる。そこではウクライナ軍の特殊作戦部隊が攻撃を実行したとの推測が語られている。

米当局者らは、攻撃がウクライナによるものだとするロシア当局者らの別のやり取りも傍受。これらを総合し、ウクライナ人のグループが攻撃の背後にいた可能性を考慮するに至った。3日午前の攻撃では、ドローン2機がクレムリンに向かって飛行し、建物の屋根に激突した。

しかし攻撃の主体について米国は決定的な結論にまで達しておらず、信頼度の低い情報としてウクライナ人のグループが関与した可能性を検証しているにすぎないと、当局者らは説明した。またゼレンスキー大統領を含むウクライナ政府の高官が攻撃を命令した可能性や、事前にこれを把握していた公算は小さいとの見方も依然として崩していないとした。

最近の米情報当局による報告ではロシアの当局者らについて、公表した内容と同様に内々でもウクライナが攻撃の背後にいると推測していると指摘。この点から攻撃がロシア政府の関与する偽旗作戦だったとは考えにくいとの見解に至ったとした。偽旗作戦の目的はロシアに対し、ウクライナでの戦争を激化させる口実を与えることにある。

攻撃への対応として、クレムリンは内部の安全対策を一部変更した。諜報活動に詳しい情報筋1人が明らかにしたが、詳細については明言を避けた。クレムリンのぺスコフ報道官は攻撃の後、モスクワの防空が強化されると公言していた。

攻撃に使用されたドローンは小型で、積載物も比較的軽量だったとみられる。このためロシアの防空システムが作動しなかった可能性があると、CNNの取材に応じた情報筋らは見ている。ドローンの航続可能距離がウクライナからモスクワまで飛行できるだけの十分なものだったのかどうかは分かっていない。

当時フィンランドの首都ヘルシンキを訪問中だったゼレンスキー大統領は攻撃について、偽旗作戦の可能性を指摘し、ウクライナの関与を否定。「ロシアは報告できる勝利が何もない。だから電撃的なドローン攻撃といった予想しない動きを行う必要があった」との見方を示した。攻撃後、ロシアはキーウに連続ミサイル攻撃を仕掛けた。ウクライナ軍によれば「モスクワのために」「クレムリンのために」の文字が書かれたドローンも利用されたという。

ゼレンスキー氏は「我々はプーチンを攻撃しない。それは裁判所に任せる」とも述べていた。

米当局者らには、現時点で排除していない可能性がいくつもある。そこには国家と関与しないウクライナもしくはロシアの活動主体がロシア国内で攻撃を実行したとの見方も含まれる。例えばプーチン大統領に共感するロシア人が、同氏の支持を強化するために攻撃を行うケースも考えられる。

ウクライナ国防情報総局の報道官はCNNの取材に対し、ゼレンスキー大統領のヘルシンキでのコメントを参照するように促した。

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