特殊部隊候補生が「地獄週間」直後に死亡、死因は細菌性肺炎 米海軍

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訓練を行う米海軍特殊部隊候補生=2020年5月4日、米カリフォルニア州コロナド/Anthony Walker/US Navy/AP

訓練を行う米海軍特殊部隊候補生=2020年5月4日、米カリフォルニア州コロナド/Anthony Walker/US Navy/AP

(CNN) 米海軍特殊部隊の「地獄週間」と呼ばれる過酷な訓練を終えた直後に死亡した候補生について、米海軍は12日、調査の結果、死因は細菌性肺炎だったことがわかったと発表した。

候補生だったカイル・マレンさん(24)は今年2月、訓練の最後の24時間の間に何度もせき込んで嘔吐(おうと)するなど呼吸問題の兆候があったにもかかわらず、訓練に参加し続け、訓練が終了した日に搬送先の病院で死亡した。

海軍は調査の結果、マレンさんは自身の過ちではなく、職務のために死亡したと断定した。

マレンさんの死を受け、海軍特殊部隊の地獄週間の訓練は批判の的になっている。海軍によると、この訓練に関連して、1953年以来これまでに10人が死亡している。

300ページあまりの調査報告書では、マレンさんの死因や、死に至るまでの訓練の終盤の出来事、医療担当者や監督者が見過ごした兆候などについて説明している。海軍はマレンさんの死を受け、一部の手順を変更した。

訓練を担当していた司令官や医療スタッフなどに対しては処分が行われた。

報告書によると、地獄週間の5日間は「制御された環境で候補者を極端なストレスにさらす」ための集中訓練が行われる。同訓練は、特殊部隊の隊員になるために必要な56週間の訓練の一環。

地獄週間の間、訓練生に許される睡眠時間は2時間のみ。これは「戦場の混乱と状況を再現」する狙いがあるという。

候補生は毎日健康診断を受け、訓練が続けられるかどうかを医療スタッフが判断する。訓練中も医療緊急事態に備えて医療スタッフが現場で待機する。

マレンさんは、訓練が終了する2日前の2月3日までは元気そうな様子だったが、この日、激しいせきをして嘔吐する姿を同僚が目撃。最終日の同月4日朝には呼吸問題を自己申告し、2度の酸素吸入を受けながら訓練を続けた。

同日、地獄週間の訓練が終了した後、マレンさんは健康診断を受け、同僚とともに教室で説明を聞いていたが、激しいむくみの症状に見舞われて車いすで兵舎に運ばれた。

同僚は、マレンさんが激しいむくみで「ミシュランマン」のように見えたと証言。健康診断を終えて教室へ行く間も嘔吐し続けていたと話している。

兵舎で休むマレンさんを見守っていた1人は同日午後2時35分、嘔吐し続けるマレンさんの様子を見て医療担当官に相談し、医療担当官は救急車を呼ぶよう助言した。

しかし「外部の医療関係者は過酷な訓練が及ぼす身体的な影響になじみがない」との理由から、訓練生が地獄週間の訓練終了後に救急車を呼ぶことは奨励されていない。もし病院で誤った診断をされたり、失格となるような診断を受けた場合、医療上の理由で訓練が失格になる恐れがある。

病院へ行くかどうかは自分で判断するよう促されたマレンさんは、病院へは行きたくないと告げたとされる。

午後3時50分から4時9分にかけ、容体は悪化し続けて呼吸困難の症状が表れ、全身がむくんで皮膚が青ざめ、液体を吐出。4時9分に救急車が呼ばれ、15分後に救急隊が到着した時には、マレンさんは意識を失っていた。

マレンさんの呼吸は、救急隊が到着する5分前に止まっていた。近くの病院に搬送されたマレンさんは、午後5時35分に死亡を宣告された。

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