OPINION

米民主党にとっての不吉な前兆

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バージニア州知事選で勝利した共和党のグレン・ヤンキン氏/Anna Moneymaker/Getty Images

バージニア州知事選で勝利した共和党のグレン・ヤンキン氏/Anna Moneymaker/Getty Images

(CNN) 米共和党の1つの大勝利が、民主党にとって不吉な前兆になるのかもしれない。共和党のグレン・ヤンキン氏はまさに絶好のタイミングで流れをつかみ、バージニア州知事選で民主党のテリー・マコーリフ氏を破った。今回の選挙は来年の中間選挙で民主党に訪れる大惨事の前触れだった可能性が十分ある。

ヤンキン氏の何が正しく、マコーリフ氏の何が間違っていたかを以下に見て行こう。

政界の新参者として、極めて高い知名度を誇る対立候補に挑むにあたり、ヤンキン氏はまず自分の身の丈に合った仕事をすることから今回の選挙戦をスタートした。活動で重きを置いたのは、人当たりの良い実業家としての人物像をバージニア州の住民に認知させることだった。人々が知りたいのは候補者が自分たちを気にかけているという事実であり、候補者の知見を彼らが気にかけるのはその後の話になる。実質的な新型コロナ時代の選挙活動の中にあっても、ヤンキン氏は本物の気遣いをバージニア州の人々に示した。

トランプ前大統領に関して、ヤンキン氏は賢明にも童話「3びきのくま」の手法を取った。つかず離れず丁度良い距離を保ち、その実績を否定しない代わりに、密接に連携することもなかった。これにより選挙活動では、郊外の無党派層と並んでトランプ氏の支持基盤に向けたメッセージも打ち出すことができた。

多くの共和党の候補者が学んだように、トランプ氏というくまにちょっかいを出せば、仕返しされるのがおちだ。

共和党の大富豪であるヤンキン氏は、経済と資金に関する問題に焦点を絞り続けた。燃料と食料の価格高騰に直面した人々は、不安の軽減を求めていた。ヤンキン氏は選挙戦初日から、州のガソリン税の課税停止と食料品への課税の撤廃を公約に掲げた。

マコーリフ氏の最大の失敗は何といっても、極めて重要な有権者層である保護者たちを遠ざけてしまったことだ。

9月に行われた討論会で、マコーリフ氏は「保護者らが学校に対して発言し、教える内容を決めるべきだとは思わない」と述べた。そこにどのような文脈があろうと、有権者が受け取った同氏からのメッセージは、教育における親の関与を二の次にするという内容に他ならなかった。

ヤンキン氏の選挙陣営は直ちにこのチャンスをとらえ、教育関連の論戦をものにする。教育への投資や保護者の権利拡大、新型コロナ感染のピークを過ぎた後の学校再開といった計画をこれでもかと売り込んだ。最終的には、沈黙を求められたと感じた保護者らが、投票日にヤンキン氏支持の声を上げた格好となった。

同じくらい痛手だったのは、マコーリフ氏も民主党も貴重な時間と資源をトランプ氏の反対運動のために浪費してしまったことだ。事実ではないにもかかわらず、ヤンキン氏とトランプ氏を結び付ける動きも見られた。こうした戦略ミスは高くついた。

バージニア州の有権者も、トランプ氏が立候補しているわけではないことくらいは分かる。多くの人々は民主党の前大統領に対する憎しみの声ではなく、自分たちの生命と暮らしに直接影響を及ぼす問題について聞きたいと望んでいた。

バイデン大統領の支持率の低さも追い打ちをかけた。CNNの世論調査のまとめによると、州知事選投票日の同氏の支持率は42%だった。

マコーリフ氏でさえ、バイデン氏のバージニア州での不人気を認めている。大統領の応援演説が大勢に影響を及ぼさなかったのも驚くには値しない。

今や共和党は、実地試験済みの枠組みによって「トランプ後の時代」における地雷回避の方法を確立した。民主党の軌道修正がなければ、我々は2022年の中間選挙で共和党の赤い波が押し寄せるのを目の当たりにする可能性がある。

アリス・スチュアート氏はCNNの政治担当コメンテーター。2016年の大統領選予備選では、当時のテッド・クルーズ候補の支援組織で幹部を務めた。記事の内容は同氏個人の見解です。

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