全米の医療従事者、コロナ禍の1年で3600人以上が死亡

米ロサンゼルスで医療従事者向けの感染防止策の強化を訴える医師/PATRICK T. FALLON/AFP/AFP via Getty Images

米ロサンゼルスで医療従事者向けの感染防止策の強化を訴える医師/PATRICK T. FALLON/AFP/AFP via Getty Images

(CNN) 米国で新型コロナウイルスのパンデミックが始まってからの1年の間に、3600人以上の医療従事者が命を落としていたことが、英紙ガーディアンとカイザー・ヘルス・ニュース(KHN)の調査報道で明らかになった。

米政府は医療従事者の死亡に関する包括的な統計を取っていない。しかしバイデン政権に対し、統計を取るよう求める声は強まっている。

ガーディアンとKHNは、コロナ禍で死亡した米国の医療従事者の死亡数や死亡原因を調べた。その結果、死亡した医療従事者は、データが入手できる限りでは非白人が70%を占めることが分かり、人種や民族、経済状態に関連した格差が浮き彫りになった。看護師や助手、介護施設の従業員など患者の日常的な介護や看護にあたる賃金の低い労働者は、医師に比べて死亡する確率が圧倒的に高かった。

そうした死亡の多くは防ぐことができたはずだった。マスクなど個人防護具(PPE)の不足や新型コロナ検査の不足、不十分な接触者追跡、政治家によるマスク着用ガイドラインの不一致、雇用主の不手際、政府の規制当局による職場の安全基準の不徹底などが、医療従事者のリスクを増大させていた。医療従事者が新型コロナに感染する確率は、一般の人に比べて3倍以上高いことも分かった。

集中治療室(ICU)に勤務する医師の中で米国で初めて新型コロナウイルスによる死亡が確認されたのは、ニューヨークとニュージャージー州で新型コロナ患者の治療に当たっていたフランク・ゲイブリン医師(60)だった。ほかの多数の医療従事者と同様に、ゲイブリン医師は適切なPPEを着けずに働き、友人へのメールで「未使用のPPEがない」「N95マスクがない。自前のゴーグル、自前のフェースシールド」と伝えていた。

ニュージャージー州の大学病院に勤務する看護師のマリッツァ・ベニケスさんは、パンデミックが始まってからの数カ月で同僚11人が死亡した。患者と同様に、死者のほとんどが黒人やラテン系だった。

今回の調査報道には100人以上の記者が貢献し、情報公開請求や政府および民間の情報源、死亡記事やSNSの投稿、家族や職場、同僚経由の死亡確認などを通じて死者を記録した。

詳しい情報を入手できた死者について判明した主な事実は以下の通り。

・死者の半数以上は60歳未満だった。一般の患者の場合、新型コロナによる死者の平均年齢は78歳だが、死亡した医療従事者の平均年齢は59歳だった。

・死亡した医療従事者の3分の1以上は米国外の出身だった。特に、フィリピンで生まれた医療従事者の死亡が圧倒的に多かった。

・看護師や助手の死者は、医師に比べてはるかに多かった。

・介護施設に勤務する従業員の死者は、病院の2倍だった。死者に占める病院勤務者の割合は30%にとどまり、資金が豊富な学術医療機関の死者は比較的少なかった。

昨年12月にワクチン接種が始まってからは、医療従事者の死亡は劇的に減速した。3月下旬に発表された統計によると、テキサス大学サウスウエスタン医療センターで完全なワクチン接種を受けた従業員8121人のうち、感染したのはわずか4人だった。しかし、KHNとガーディアンの追跡調査では、ワクチン接種が始まって以来、400人以上の医療従事者が命を落としている。

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