バイデン氏はなぜハリス議員を副大統領候補に選んだのか
(CNN) ジョー・バイデン氏は84日後、米大統領選に勝利すると考えている。
それが、副大統領候補としてカマラ・ハリス上院議員を選出したと発表した東部時間午後4時直後にバイデン氏から送られた明白なメッセージだった。
ハリス氏は今年初めの民主党内での大統領選の候補者指名争いに出馬したものの成功しなかったが、何カ月もの間、バイデン氏の副大統領候補として先頭を走っていた。それは、実に理にかなっていた。
ハリス氏は自身が出馬した2020年大統領選の指名候補争いのおかげで全国規模の厳しい目にさらされていた。
ハリス氏は、カリフォルニア州司法長官を経験したほか、2017年からは上院議員を務めており、政府での経験がある。
ハリス氏は55歳で、より若い世代の指導層を代表している。バイデン氏は2021年の大統領就任時には78歳となるが、こうしたことが選択の際の大きな要素となると述べていた。
ハリス氏は歴史的な選択であり、主要政党の全国規模での候補者リストでは、アフリカ系および南アジア系の女性としては初の選出となる。
ハリス氏はカリフォルニア州選出で、同州は民主党の投票者と民主党の寄付者が数多くいる。
ハリス氏は、黒人男性のジョージ・フロイドさんが5月に死亡し、その後全国規模の抗議デモが起きたことを受けて、人種問題と警察改革の必要性について積極的に発言している。
これほど多くのチェックマークが入る、バイデン氏の副大統領候補は誰もいなかった。
今回の選択からわかるのは、バイデン氏とバイデン氏の選挙陣営がより予想しにくい候補者の選出をする必要性を感じなかったということだ。彼らはハリス氏の選出が大きな注目を集めることを知っていると同時に多くの人々がそうするだろう予測していた。ハリス氏を選択したという歴史的な意味合いにもかかわらず、バイデン氏とその顧問は、ハリス氏の選出が一部からは驚くにあたらないと指摘される可能性があることもわかっていた。
しかし、ある人にとって「驚くにあたらない」ことは別の人にとって「安全」を意味する。まさしくハリス氏がそれで、バイデン氏が必要と考えているものでもあった。
もしあなたがバイデン氏で、これが3度目となる大統領選への出馬であり、事実上すべての接戦州と全国規模の世論調査でドナルド・トランプ大統領をリードしているなら、これから本選の11月3日まで毎日、大統領選の基礎的な力学を変更するような脅威を引き起こしたくないと考えるだろう。そうした基礎的な力学とは今回の大統領選はトランプ大統領の1期目に対する国民投票であり、それはより具体的に言えば、米国の新型コロナウイルスの感染拡大に対応するトランプ氏の場当たり的で誤った方法に対する投票だ。
この考え方でいくと、バイデン氏が必要としているのはトランプ氏が解任に値すると有権者を説得するために多くの時間を費やすことであり、自身が大統領職に適していると信じさせることに費やす時間は比較的少なくなる。
これが意味するのは、バイデン氏は大統領選では自身に関する話題をできるだけ少なくしたいということだ。バイデン氏は2016年の大統領選の再現は望んでいない。2016年の大統領選ではヒラリー・クリントン元国務長官は国務長官時代の出来事や電子メールについてトランプ氏からの防戦を余儀なくされた。バイデン氏は大統領選を言葉の応酬や、個人攻撃という点からどちらがより低俗になれるのかを見る戦いにしたくないと考えている。
バイデン氏のしたことは今回の副大統領候補選出を通じて、大統領選を引き続きトランプ氏に対する国民投票となる機会を最大化することであり、また、もしバイデン氏が退任する際にはその後を継げるだれかを選出したということだ。