中国、東南アジアを結ぶ高速鉄道を計画 現状と今後の見通しは

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バンコクにある寺院を見学する中国の観光客/Peerapon Boonyakiat/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

バンコクにある寺院を見学する中国の観光客/Peerapon Boonyakiat/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

「多くの国が中国と国境を接し、長い歴史を共有している」と米ベントレー大学で助教授(グローバル研究)を務める政治経済学者のポン・スーバンナセン氏は言う。

「中国は当然、東南アジアを主要な輸出市場であると同時に安全保障上の重要地域とも見ており、最終的には東南アジア諸国が自国の地政学的な影響力の範囲内に入ることを望んでいるだろう」

興味深いことに、東南アジアには中華系の人々が多いことも大きな魅力だと専門家らは述べている。

「マレーシアのペナンやマラッカ、寺院や建築物が点在するプーケットのオールドタウンなどは、中国人移民によって建設され、歴史的、文化的なつながりがあることから、中国人観光客から非常に人気がある」とバウワーマン氏は語った。

同氏はまた、鉄道旅行の人気が高まっていることも東南アジアの人気につながっていると指摘。とりわけ若年層の中国人観光客の中には、持続可能な旅行にこだわり、新たな冒険心を求めている人が多いという。

北京に住むセキュリティー専門家、パン・ウェンボーさん(30)はCNNに対し、中国から東南アジアを縦断する壮大な鉄道の旅は、飛行機を利用するのとは対照に、安価で道中に美しい景色がたくさん楽しめると語った。パンさんは過去5年間にタイ、シンガポール、ベトナム、フィリピンを訪れており、他の東南アジアの国々も探索したいと述べている。

大学生のメイ・ウェイさんのように、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の中国国内版「抖音(ドウイン)」や動画配信プラットフォーム「YOUKU」などの中国のソーシャルメディアで人気のインフルエンサーから旅のヒントやインスピレーションを得ている人もいる。

ここ数カ月間に視聴した旅動画のおかげで、ウェイさんは現在、シエムレアプのアンコールワット遺跡群のような「ユニークな観光名所」を訪れるために、今夏にラオスやカンボジアのほか、恐らくタイへも旅行に行く計画を立てていると話した。

ウェイさんはCNNに対し、列車での旅が特に楽しみだと語っている。

「飛行機はあまり好きではない。中国では(飛行機で上空から見下ろすよりも)地上でたくさんの景色を眺めることができるうえ、都市の中心部に直接移動できるので列車を好んで利用する」(ウェイさん)

「また、航空会社の手によって価格が左右されやすい航空券を予約するよりも、鉄道は通常、運賃が一定していて安いのも助かる」とウェイさんは話した。

問題と論争

中国の「一帯一路」は、習近平(シーチンピン)国家主席が就任後まもなく打ち出した構想だ。

高速鉄道に加え、数十億ドル規模の海橋や高速道路、港湾、空港、発電所、通信ネットワークなどのすべてが、中国共産党が求める新「シルクロード」を構築するうえで基本的な役割を担っている。

専門家らによると、中国ラオス鉄道のようなプロジェクトの多くは、経済的利益を念頭に設計されたという。中国国営メディアによると、同鉄道の23年の貨物輸送量は累計422万トンで、前年比94.91%増となった。

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