「EV革命は順調」とIEA、35年までに販売数の半分占める予測
ロンドン(CNN) 国際エネルギー機関(IEA)は28日までに、電気自動車(EV)の市場動向に関して今年の販売台数は20%以上増え、1700万台に達する勢いにあるとの報告書を発表した。
中国市場の伸びが牽引(けんいん)するとした。今後10年間で需要が大きく増え、世界の自動車産業界を変える流れにあるとし、路上輸送に要する石油の消費量を大幅に減らすとも予想した。
車の国際的な販売台数の半分は2035年までにEVが占めるとも予測。今年の場合は5台に1台以上がEVになると見込んでいる。
IEAは、EVの中にプラグインハイブリッド車(PHV)も含めている。
中国に加え、欧州連合(EU)加盟国内でのEVの新車販売も増えている。欧州の自動車製造業界団体によると、今年第1四半期(1〜3月)では前年同期比で約4%増を記録した。
IEAのビロル事務局長は声明で「世界的なEV革命の機運はしぼんでおらず、成長の新たな段階へ向かっているようにみられる」とも総括した。
一方で、市場シェアの奪い合いに伴う価格競争が激しくなっており、EV製造業者は収益の縮小への対応を迫られてもいる。米テスラと中国の理想汽車は最近、中国内に投入する主要モデルの価格を安くした。テスラはドイツと米国内でも同様の措置を講じた。
テスラは今月、年間の販売台数の実績を公表し、過去約4年で初めて落ち込んだと報告していた。同社の株価は今年これまで40%以上も下落した。
テスラを一時上回り、販売首位の座を得ていた中国のBYDの業績にも陰りが出ており、今年第1四半期では約30万台にとどまった。昨年の第4四半期での52万5000台以上からは大きく後退した。
IEAは、製造企業は価格競争で被害を受けているだろうが、EVを世界中に広げるためには値下げは必要な要件とも指摘。「EVへの移行の進み具合は手頃な値段にかかっている」とも断じた。
中国では昨年販売されたEVの60%以上がガソリン車の価格より安かった。半面、欧州と米国ではガソリン車の新車の平均的な値段がより安めに設定され続けていた。
IEAは、市場競争の激化と車載電池の技術的な改良を受け、EVの価格は今後数年間、押し下げられるとも分析。中国からのEV輸出の拡大は販売価格の低減を促す圧力になるとも続けた。EV販売台数の合計で中国企業は昨年、半分以上の比率を握っていた。
ただ、中国製EVの輸出増加への懸念もEUで生じており、昨年後期にはEVメーカーに対する中国政府の国家支援への調査にも踏み切っていた。欧州の自動車産業は雇用の大きな供給源となっており、最大の経済規模を持つドイツは多くの国際的メーカーを抱えている。
欧州や米国で大規模なEV普及を実現させるためには手頃な価格の他、公共的な充電インフラの整備の促進も必要となっている。