州兵配備の米ロサンゼルス 衝突激化、移民摘発に抗議のデモ続く
デモ隊にスプレー 米ロサンゼルス
(CNN) 米カリフォルニア州ロサンゼルスで滞在資格のない移民の一斉摘発に抗議するデモが8日も続き、ドナルド・トランプ大統領の命令を受けて州兵が派遣された。州知事の要請なしに州兵が配備されたのは1965年以来。州知事広報によると、現在、ロサンゼルス市内の3カ所に約300人の州兵が配備されている。
移民の一斉摘発に抗議するデモ隊と、警官隊や州兵との衝突は激化している。
ロサンゼルス市警は、ロサンゼルス市中心部の移民勾留施設前で多数を逮捕したと発表した。
同施設前には8日、デモ参加者が詰めかけて、州兵や移民税関捜査局(ICE)、国土安全保障省の捜査官らと衝突している。
CNN取材班は8日午後、警官隊がデモ隊を押しやったり、警棒で殴ったりする場面を目的した。
警官隊はデモ隊を解散させようと閃光(せんこう)弾を使用し、大きな爆発音が鳴り響いた。デモ隊は「ICEは出て行け」の横断幕やプラカードを掲げている。
ロサンゼルス市警は、群衆がコンクリートやボトルなどを投げつけていると伝え、「逮捕が始まっている」とXに書き込んだ。
市警によると、市中心部の抗議デモで、バイク2台が警官隊に突っ込み、はねられた警官2人が負傷して現場で手当てを受けた。バイクに乗っていた人物は拘束された。
周辺の道路にはデモ参加者が押し寄せ、高速道路も封鎖されて交通混乱を引き起こしている。
移民勾留施設前では集まったデモ隊に対し、ロサンゼルス市警のヘリコプターが上空から「これは違法な集会だ」と警告した。
市警はXへの投稿で、この抗議デモを「違法な集会」と宣言し、「殺傷力の低い武器の使用」を許可したと発表。「全員、この場所から退去せよ。さもなければ逮捕する」と通告していた。
ロサンゼルスのカレン・バス市長は8日、州兵の派遣によって混乱がエスカレートしていると批判。「(州兵派遣は)私たちの市にとって最悪。抗議デモは引き続き平和的に」とXに書き込んだ。
これに対して国土安全保障省はXの公式アカウントで、バス市長に「吐き気がする」と投稿。同市長が「米国市民と社会の安全を犠牲にして暴徒と犯罪不法外国人を保護し続けている」と書き込み、「市の指導者がやらないのなら、トランプ大統領と(同省のクリスティ・ノーム長官が)ロサンゼルスの法と秩序を取り戻す」と強調した。
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事もバス市長も、移民の一斉摘発に抗議する市民に対して声を上げるよう促す一方で、デモは平穏を保つよう呼びかけている。
米連邦捜査局(FBI)のロサンゼルス支部は、同州パラマウントで行われた7日のデモで男が当局の車両に石を投げ、警官1人が負傷して車両が損傷したと発表。この男の特定につながる情報に5万ドルの賞金を贈呈すると発表した。
ドナルド・トランプ大統領は、政権による強制送還の取り組みを妨害する目的で「暴力的な反乱暴徒が押し寄せて連邦政府の職員を攻撃している」と主張した。
ニューサム知事は8日、国防総省に対し、ロサンゼルスへの州兵派遣を撤回するよう要請。「トランプが介入するまで我々に問題はなかった」とXに書き込んだ。
民主党の知事22人は8日、連名で、トランプ大統領による州兵の派遣を非難する声明を発表した。