アフガン女子陸上選手、女性の権利をタリバンに訴え パリ五輪
(CNN) パリ・オリンピック(五輪)に出場したアフガニスタンのキミア・ユースフィ選手(28)にとって、目標は金メダルではなかった。
2日に開かれた陸上女子100メートルの結果は最下位だった。それでもユースフィ選手の出場は、タリバン政権に対して女性の権利を訴える力強さを放っていた。
「教育。スポーツ。私たちの権利」。13秒42のタイムでゴールしたユースフィ選手のゼッケンの裏には、手書きで書かれた文字があった。
「私はテロリストがやって来た土地のために戦っています。もしもあなたの家にやって来た相手から『出ていけ、ここは私の家だ』と言われたら、どう感じますか? 彼らは私の土地を奪いました。アフガニスタンでは誰も彼らを政府として認めていません。誰一人として。彼らは話すことができません。私は話すことができます」。競技を終えたユースフィ選手はそう語った。
2021年にアフガニスタンでタリバンが再び実権を握って以来、女子は中等教育が受けられなくなり、大学通学やNGOで働くことは禁止され、男性の付き添いがない外出は制限され、公園やジムなど公共の場の利用は禁止された。
パリ・オリンピックのアフガン選手団は、両性の平等を象徴してユースフィ選手を含む女子3人と男子3人の6人で構成。陸上女子の選手はユースフィ選手1人のみだった。
ユースフィ選手はかつてのタリバン政権下で難民となった両親の下にイランで生まれた。その後アフガニスタンに移って16年のリオデジャネイロ・オリンピックにアフガン代表として出場。21年の東京大会では旗手を務めた。
22年にはオーストラリアに移り住み、パリ大会に向けてトレーニングを重ねていた。