「軍国主義」理由に隠された教会壁画、60年ぶり公開 NY
ニューヨーク(CNN) 米ニューヨーク・マンハッタンの教会で10日、ベテランズデーの祝日を前に、これまで約60年にわたって覆い隠されていた壁画が公開された。
公開されたのは、キリストの前にひざまずく制服姿の兵士2人を描いた宗教画。マンハッタン南西部のチェルシー地区にあるセントピーターズ教会に1946年から展示されていたが、軍国主義的だという理由で54年以来、カーテンで覆い隠されていた。
この作品を描いたのは元軍人のテッド・ウィトニスキで、息子のピーター・ウィトニスキ氏によると、真珠湾攻撃の翌日に米軍に入隊し、第2次世界大戦中に大佐にまで昇進。復員後はセントピーターズ教会を心のよりどころにしていたという。
ピーター氏は、「父は単に米国の戦勝を描きたかったにすぎない。しかも戦争に勝ったからといって浮かれ騒ぐのではなく、ひざまずいて祈りをささげる姿を描いた」と話す。
ウィトニスキは1970年代に65歳で死去した。作品が覆い隠されたのはウィトニスキが同地を離れた後だったが、もしその事実を知ったとすれば「父は傷ついていたと思う」とピーター氏は言う。
現在の教会員のほとんどは隠された壁画の存在を知らず、今回の発表に驚いていたという。暫定牧師のスティーブン・ハーディング氏は、隠された作品があると知ってすぐに公開を考えたといい、この作品をきっかけに教会と米国の歴史について考えてもらえればと話している。