現代のジャガイモ、野生のトマトの交雑から進化 新研究

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トマトに含まれる遺伝子をきっかけに、最初のジャガイモが塊茎の形成を開始した/Robert Alexander/Getty Images

トマトに含まれる遺伝子をきっかけに、最初のジャガイモが塊茎の形成を開始した/Robert Alexander/Getty Images

論文共著者で中国・蘭州大学で生態学を研究するジャンカン・リウ氏は、気候や地質の変化によってEtuberosumとトマトの祖先が同じ場所で共存するようになった公算が大きいと指摘する。

どちらの植物も蜂を介して受粉するため、植物間で花粉の移動が起こりジャガイモの誕生につながったというのはあり得るシナリオだと、米コロラド州立大学で農業科学を研究するエイミー・チャルコウスキー研究担当副学長は述べた。チャルコウスキー氏は今回の研究に関与していない。

ジャガイモに塊茎の生成開始を命じた「マスタースイッチ」は、トマト側に含まれる遺伝子だった。一方Etuberosumに含まれる遺伝子には、塊茎ができる地下茎の成長をコントロールする機能が備わっていたと、リウ氏は説明する。どちらかの遺伝子が欠けているか、協調して作用していなければ、ジャガイモが塊茎を作り出すことはなかったと、研究者らはみている。

南米ペルーには様々な種類のジャガイモの固有種が存在する/Sandra Knapp
南米ペルーには様々な種類のジャガイモの固有種が存在する/Sandra Knapp

ナップ氏によれば、塊茎を持つジャガイモの進化は、プレート同士の相互作用によってアンデス山脈が急激に隆起した年代に重なるという。

現代のトマトが乾燥した高温の環境を好む一方、Etuberosumは温帯の地域をより好む。しかしジャガイモの祖先は、乾燥して寒冷なアンデス一帯の高地で生育できるように進化した。塊茎が種の生存に寄与したと、ナップ氏は示唆する。ジャガイモは繁殖に種子や受粉を必要とせず、塊茎が成長することで新たなジャガイモが生まれる。そのため多様な環境下での生育が可能になる。

栽培されたジャガイモは現在、世界の人口にとって重要な主食の一つで、論文によると米や小麦、トウモロコシと共に人間が摂取するカロリーの8割を占めているという。

今回の研究で用いた手法は、ジャガイモの進化や塊茎の発達に関する知見の獲得に寄与する以外にも、トマトとジャガイモが備える病気や虫害への抵抗性、栄養、乾燥耐性といった特性の理解にも役立つと、チャルコウスキー氏は指摘した。

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