現代のジャガイモ、野生のトマトの交雑から進化 新研究

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根の部分に塊茎を付けるジャガイモ(右)と、付けないEtuberosum/Agricultural Genomics Institute at Shenzhen/Chinese Academy of Agricultural Sciences (AGIS-CAAS)

根の部分に塊茎を付けるジャガイモ(右)と、付けないEtuberosum/Agricultural Genomics Institute at Shenzhen/Chinese Academy of Agricultural Sciences (AGIS-CAAS)

(CNN) 約1万年前に栽培が始まった現代のジャガイモはアンデス山脈を原産地とし、その後世界の人口を支える重要な食材となった。しかし化石による記録が十分に残っていないことから、その系統についてはほとんどが謎に包まれていた。

そこで進化生物学者とゲノム科学者のチームがジャガイモの起源を調査。数百万年前に偶然の交雑によって誕生したことを突き止めた。そこには意外な植物の親戚が関わっていた。トマトだ。

研究者らは栽培種と野生種のジャガイモから採取した450のゲノムを分析。その結果、太古に生育していた野生のトマトの祖先が、Etuberosumと呼ばれるジャガイモのような植物と900万年前に自然交雑していたことが分かった。どちらの植物も元々は、共通の祖先となる植物から約1400万年前に枝分かれしたという。分析結果を記した論文は、7月31日付の科学誌セルに掲載された。

トマトもEtuberosumもジャガイモの食用部分となる塊茎を形成する能力は持たないが、交雑後の植物にはそれが備わっていた。塊茎が発達したことにより、ジャガイモは栄養を地面の下に貯蔵。寒冷化するアンデス地方の気候に対処することができた。現在、塊茎を持つジャガイモの野生種は100種以上存在しているが、一部には毒性があり、全てを食用にできるわけではない。

ジャガイモ、トマト、Etuberosumはいずれもナス属に分類される。ナス属には約1500種が含まれ、顕花植物のナス科の中で最大の属となっている。

ジャガイモ、トマト、Etuberosumの系統を調べたところ、ジャガイモは遺伝子レベルでトマトの方により近いことが分かった。論文共著者で英ロンドンの自然史博物館の調査植物学者、サンディー・ナップ博士が明らかにした。

ナップ氏によれば、Etuberosumは南太平洋に浮かぶファン・フェルナンデス諸島やチリの熱帯雨林に行かなければ見ることができない。また、トマトとEtuberosumとが1400万年前に枝分かれした共通の祖先の植物は現存していないという。

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