胎児期のPFASへの暴露、10代の高血圧と関連か 新研究

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10代で高血圧を発症すると成人になってから進行する可能性が高いと研究の主任著者は指摘する/Richard Bailey/Photodisc/Getty Images

10代で高血圧を発症すると成人になってから進行する可能性が高いと研究の主任著者は指摘する/Richard Bailey/Photodisc/Getty Images

(CNN) 広く使用されている化学物質、有機フッ素化合物(総称PFAS)に出生前に暴露することと、10代での高血圧の発症が関連している可能性がある。12日にジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ハート・アソシエーション誌に掲載された研究で明らかになった。

PFASは、がん、内分泌疾患、子どもの発達障害との関連が指摘される約1万5000種類の人工化学物質の総称で、環境中で完全に分解されないことから「永遠の化学物質」と呼ばれることもある。

今回、これらの合成化合物は、10代の若者が将来的に心血管疾患を発症するリスクとも関連している可能性があることが明らかになった。

研究者らは1094人の子どものデータを平均12年にわたり調査。医療記録をもとに出産後24~72時間の母親の血漿(けっしょう)サンプルに含まれる8種類のPFAS物質の測定値と、子どもの血圧を比較した。

その結果、胎児期に高濃度のPFAS物質に暴露した子どもは、小児期および思春期に高血圧になる可能性が高いことが明らかになった。この関連性は特に思春期の子ども、男児、黒人の子どもで顕著だったと、ハーバード大学医学部助教で研究の主任著者であるミンギュ・チャン氏は述べている。

10代の高血圧

この研究は観察研究であるため、関連性は示されているものの、PFASへの暴露が高血圧の原因であると証明することはできない。

研究者らは他の要因を考慮し調整したものの、PFASと血圧の関連性を促進する他の要素が存在する可能性もあるという。

子どもが高血圧の場合、将来的に高血圧が進行する可能性が高いため、チャン氏はこのテーマの調査は重要だと主張する。高血圧は米国で死因のトップである心血管疾患の危険因子だからだ。

胎児期に複数のPFAS物質に暴露した思春期の子どもは、暴露しなかった同時期の子どもと比較して、最も大きな影響が見られた。これは、心臓代謝に相乗的な影響を与える可能性があることを示唆していると、アトランタのエモリー大学ロリンス公衆衛生大学院の特別研究教授、カルメン・マルシット氏は指摘する。同氏はこの研究に関わっていない。

「ほとんどの子どもは複数の異なるPFAS物質に暴露されるため、これは懸念すべきことだ」(マルシット氏)

マルシット氏はまた、出生前のPFASへの暴露が高血圧と最も関連している年齢期が思春期であるという事実は、一部のPFAS物質が影響を及ぼし始めるまでに長い期間を要する可能性があることを示唆していると語った。

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