19世紀の沈没船、豪州沿岸で発見 当時ならではの船員らの「副業」にも脚光

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
オランダの画家ヤーコプ・スピンが1842年に描いた同国の商船「ウィレム2世号」/Rotterdam Maritime Museum

オランダの画家ヤーコプ・スピンが1842年に描いた同国の商船「ウィレム2世号」/Rotterdam Maritime Museum

(CNN) 南オーストラリア州沿岸の荒海の下で、海洋考古学者らが170年近く前に沈んだ船の残骸を発見したと明らかにした。見つかったのはオランダの商船で、19世紀にオーストラリアで起きたゴールドラッシュにまつわる海の悲劇を今に伝えているという。

800トンの帆船「ウィレム2世号」は1857年6月、オランダへ戻る航海に出たところ激しい暴風雨に遭い、南オーストラリア州の港町ローブの近海で転覆した。豪国立海洋博物館が報道向けの発表で述べた。乗組員の3分の2が溺死(できし)したという。

その数日前、ビクトリア州の金鉱山へ向かう中国人移民400人がウィレム2世号から上陸していた。同船の乗組員はこれらの労働力の輸送を「副業」にして、追加の報酬を受け取っていた。海洋博物館の海洋考古学部門責任者代行、ジェームズ・ハンター氏はそう説明する。こうした慣行は当時一般的だったが、合法的な航海だったかどうかは疑わしいと同氏は付け加えた。

今年の3月10日、3年間の探索の後にオランダの外務省、文化遺産庁の支援を受けたダイバーのチームがウィレム2世号のものとみられる残骸を発見した。

海中の船を最初に見つけたハンター氏によれば、残骸のごく一部が偶然砂の上に出ていたおかげでその存在を確認することができたという。

探索チームのメンバーは、発見した残骸がウィレム2世号だと自信を持っている。発見場所が歴史的な記述と符合する他、検知した金属部位の長さも記録に残る同船の全長43メートルに適合するという。2023年には、残骸のある地点に近い海岸から19世紀の中国製陶磁器の一部も見つかっていた。

今後博物館は南オーストラリア州の環境省や豪フリンダース大学などと提携し、残骸内の遺物の捜索、回収、保存に取り組む。19世紀の造船技術や船員、乗客についてさらなる詳細が明らかになる可能性がある。

メールマガジン登録
見過ごしていた世界の動き一目でわかる

世界20億を超える人々にニュースを提供する米CNN。「CNN.co.jpメールマガジン」は、世界各地のCNN記者から届く記事を、日本語で毎日皆様にお届けします*。世界の最新情勢やトレンドを把握しておきたい人に有益なツールです。

*平日のみ、年末年始など一部期間除く。

「サイエンス」のニュース

Video

Photo

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]