賢さで知られるキバタン、飲用噴水操作して水飲む行動を研究 豪シドニー

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街中の飲用噴水の取っ手を足で操作し、水を飲むキバタン/Courtesy Barbara Klump & Lucy Aplin

街中の飲用噴水の取っ手を足で操作し、水を飲むキバタン/Courtesy Barbara Klump & Lucy Aplin

(CNN) オーストラリアに広く分布するオウムの一種、キバタンは、まず蓋(ふた)付きのごみ箱を開けて食べ物をあさることを覚えた。今は一歩踏み込んで、飲用噴水の出し方を突き止め、食べ物を水で流し込んでいる。

白い体に黄色いとさかが特徴的なキバタンは、甲高い金切り声で鳴くことで知られる。一方で大変に知能が高く、器用な足先を駆使して都市環境で生き延びるための新たな習性を身に着けてもいる。

とりわけシドニー西部のキバタンは、飲用噴水から水を飲む最新の妙技を披露し、研究者の注目を集めた。2018年にこの現象を初めて確認した後、研究者らは24羽にタグを付け、飲用噴水の近くにカメラを設置。その様子を観察した。

19年秋に2カ月間記録したところ、タグを付けたキバタンの大半が飲用噴水から水を飲もうと試みた。こうした飲用噴水は取っ手をひねることで水が出る。人間には簡単だが、動物が理解するには複雑な仕組みだ。

それでも、キバタンたちはやってのけた。方法は様々で、両足で取っ手に乗るキバタンもいれば、片足を取っ手、もう片方の足をゴム製の飲み口に乗せて下に体重をかけ、頭を前へ倒して水を飲むキバタンもいた。

失敗することもあったが、ほとんどの場合はうまく水が飲めていた。周辺の飲用噴水10カ所中、キバタンが来たと思われる「噛(か)み痕」の付いた噴水は5カ所だった。観察結果をまとめた論文は4日付のバイオロジー・レターズ誌に掲載された。

シドニーに暮らすキバタンを観察する研究チームは21年にも、ごみ容器の蓋を嘴(くちばし)と足を使って開け、中の食べ物にありつく習性を検証した論文を発表している。

嘴や足を使ってごみ容器の蓋を持ち上げるシドニーのキバタン/Barbara Klump
嘴や足を使ってごみ容器の蓋を持ち上げるシドニーのキバタン/Barbara Klump

このような斬新な行動は、キバタンたちの頭の良さだけでなく、彼らが都市環境に適応する能力も備えていることを示す。またキバタン同士で動きを模倣するなど、社会的学習を行う力もあることが分かると、研究者らは指摘している。

論文共著者の一人、オーストラリア国立大学のルーシー・M・アプリン准教授は、CNN提携局のABCラジオのインタビューに答え「新たな動きがふと飛び出した時、1羽の天才が何かを編み出した時、キバタンたちはその機会を利用してお互いから学んでいる」と説明した。

キバタンたちが簡単に水が飲める自然の水場ではなく、飲用噴水に群がる正確な理由は分かっていない。外敵が少なくて安全だから、単純に飲用噴水の水の味を好むからといった仮説が立てられているが、解明にはさらなる研究が必要とみられる。

今後はこれまで確認されていない別の能力の有無も突き止めていきたいと研究者らは考えている。

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