「シュリンキング・ニモ」?、体を縮めるカクレクマノミ 海水温上昇に順応と研究者

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サンゴ礁に付いたイソギンチャクの中で暮らすカクレクマノミ/Morgan Bennett-Smith

サンゴ礁に付いたイソギンチャクの中で暮らすカクレクマノミ/Morgan Bennett-Smith

(CNN) 映画「ファインディング・ニモ」で有名になったオレンジと白の小型の魚、カクレクマノミは、体を縮めることで海洋の熱波を生き延びる可能性を高めていることが分かった。

パプアニューギニアの保護センターで、英ニューカッスル大学の科学者が率いるチームが、2023年の海洋熱波の間、134匹のカクレクマノミを5カ月間観察した。同大が21日に発表した声明で明らかにした。

研究論文の主執筆者であるニューカッスル大学の博士課程学生メリッサ・フェルステーグ氏は毎月各魚の体長を測定し、また4〜6日ごとに水温を測定した。

カクレクマノミは海水温の上昇に反応して体を縮めることが明らかになった/Smith
カクレクマノミは海水温の上昇に反応して体を縮めることが明らかになった/Smith

その結果、水温の上昇に伴い、カクレクマノミの体長が短くなることが分かった。環境条件が変化するとサンゴ礁に暮らす魚が縮むことが明らかになったのは初めて。

22日にCNNの取材に応じたフェルステーグ氏は「観察結果に大変驚いた」と述べ、カクレクマノミが環境の変化に柔軟に対応する能力を持っていることを目の当たりにしたと付け加えた。

今回の研究は海洋熱波がますます一般的な現象になる中で特に重要な意味を持つ。気候変動の激化は現在サンゴ礁や他の海洋生物に深刻な影響を及ぼしている。

研究チームは、調査した134匹のカクレクマノミのうち、100匹の体長が短くなったことを確認。体を縮めれば熱のストレスから生き延びる可能性が最大78%増加することを突き止めた。

ニューカッスル大学の海洋生態学者で論文の著者、テレサ・ルーガー氏はCNNの取材に対し、小型の魚は繁殖力が弱いため、体長が縮むことは必ずしも良いことではなく、個体群に悪影響を及ぼす恐れもあると語った。

海洋熱波の期間中、体を縮めることでカクレクマノミの生存率は上昇したという/Smith
海洋熱波の期間中、体を縮めることでカクレクマノミの生存率は上昇したという/Smith

それでも海洋熱波という環境下でそうした順応を果たせることは、種として生き残るための非常に前向きな変化になり得ると同氏は言い添えた。

研究チームはまた、繁殖相手と同じタイミングで身を縮めたカクレクマノミの方が生存率が高いことも発見した。

カクレクマノミは雌の方が体が大きく支配的だが、雌の体が縮むと繁殖相手の雄の体もそれに合わせて小さくなる。これによって互いのパワーバランスが保たれ、対立が生じるのを防げるという。

研究チームは今後、環境条件によって成長したり縮んだりするこの能力の背後にあるメカニズムを調査し、他の種の魚にもこのような能力があるかどうか検証する予定だ。

今回の研究論文は、科学誌サイエンス・アドバンシーズに掲載された。

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