OPINION

変異株「オミクロン」がホリデーシーズンに投げかける意味

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米LAの国際空港に到着後、新型コロナのスピード検査の列に並ぶ旅行者ら/Mario Tama/Getty Images

米LAの国際空港に到着後、新型コロナのスピード検査の列に並ぶ旅行者ら/Mario Tama/Getty Images

(CNN) これまでよりも普通の状態でホリデーシーズンが迎えられると思った矢先、新たな変異株、恐るべき「オミクロン株」が世界保健機関(WHO)によって「懸念される変異株」に指定された。私や他の公衆衛生の専門家は米国民に対し、この変異株を真剣に受け止めるように注意を促す一方で、まだ解明できていないことが多いため、辛抱強く待つようにとも呼び掛けている。だが、この待つという行為がいら立ちを募らせるものだということは十分理解できる。もうパンデミック(世界的大流行)になって2年近くになるというのに、いまだに次の最良のステップが何なのかが確実にわからないとはどういうことかと。

メーガン・ラニー氏/courtesy of Megan Ranney
メーガン・ラニー氏/courtesy of Megan Ranney

我々の現在地と今後の行き先を理解するには、オミクロン株の裏にある科学と、答えが出てくると予想されるスピードを理解することが助けとなる。

この変異株の発見はそれ自体が印象的だ。通常の監視を行っていた南アフリカの科学者がハウテン州での新型コロナウイルス感染症の急増に気づいて、この変異株が特定された。彼らは入ってくる検体の遺伝子型をわずか36時間で決定し、数十の変異を素早く特定した。この変異が公衆衛生のコミュニティーを不安に陥れている。こうした遺伝子配列の決定までのスピードは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以前にはほとんど聞いたことがないものだ。世界中の人々は「ネットワーク・フォー・ジノミック・サーベイランス・イン・サウスアフリカ」と民間組織「ランセット・ラボラトリーズ」の科学者に恩義を感じるべきだ。

だが、遺伝子配列の決定は最初のステップに過ぎない。よく知られているように、遺伝子配列だけが我々の見かけや動きを決めるわけではない。従って、我々がオミクロン株で本当に重要な問題の答えを導き出すためには、より多くの作業が必要となる。これには時間がかかり、容易な作業ではない。

我々が次に答えを見つけようとする大きな問題は、この新しい変異株はどれだけ容易に広がるのか、科学的に言えば「伝染性」がどれほどあるかだ。実際に変異によってオミクロン株が気道に容易に「くっつき」やすくなるのかどうか。また、より効率的に複製しているのかどうかという点だ。

この問題は重要だ。なぜならば、もしウイルスが容易に広まるなら、それはより多くの人が病気にかかることを意味する。特にワクチンの接種を受けていない人やマスクをつけていない人、免疫が低下してきている人はそうだ(これがデルタ株を非常に悪いものにしている)。

伝染性はある意味で、もっとも把握が簡単なもののように見える。我々はこれを昔ながらの探偵のような疫学だと捉える。つまり、痕跡に接触し、病気になった人の数を調べ、その特徴を把握する。そして症例数が増える中で再生産数の見積もりを始める。だが、最良の推計値は他のもの(社会的密度など)にも依存し、我々の行動(マスクの着用など)にも基づくものとなる。

科学者はこの情報を得ようと懸命に努力しているが、正確な情報を得るには時間がかかる。また、推計値とは変化し続けるものだと考えるべきだ。現時点で、我々は南アフリカや他の地域における感染拡大のスピードを見て、おおざっぱな推計をしている。その推計値はよくないように見える。ある初期段階のモデルでは、オミクロン株の感染のしやすさはデルタ株の2倍との結果が示された。我々科学者の多くが人々に公共の場でマスクを着用し、追加接種を受けるように警告を発しているのは、これが理由だ。実際の数字が初期の計算の示唆するものに近いのであれば、感染拡大には歯止めをかけたい。

オミクロン株は従来の変異株よりも重症化をもたらすのか。これも我々が知りたい点だ。だが、この問題は何カ月も答えが出ないだろう。病気の重症度は多くのものから影響を受けるからだ。誰が感染したのか、地元の病院がどれほどひっ迫しているか、ワクチン接種の広まりや感染の経験、軽症の場合の検査の有無などがそれに該当する。

デルタ株でさえ、発見から6カ月たっても、人々をより重症化させる力があるのかどうか議論が続いている。ただ明らかなのは、我々が何をすべきか決定するまで何カ月も待てないということだ。だから我々は「仮にそうであれば」という想定の下で行動する必要がある。バイデン大統領が2日に新たな措置を発表したのはこのためだ。より多くの成人市民が追加接種を受け、また5~11歳の子どもがワクチン接種を受けるようにするための措置、自宅での無料検査の拡充などがこれに含まれる。今後さらに多くの対策が出てくることを私は期待する。

我々の大半が心に抱く最大の未解決の問題は、新型コロナウイルス感染症ワクチンがオミクロン株から我々をどれだけ守ってくれるのかという点だ。この答えも時間の経過で変わるだろう。現在の分析が複雑になっているのは、市中感染が確認されている南アフリカで、大半の人々がワクチンを接種していない状況のためだ。これはワクチンアパルトヘイトが原因となっている(アパルトヘイトとは南アフリカで約50年間続いた制度的な人種隔離政策を指す)。従って、ワクチンの有効性を区別するのはより困難な状況にある。だが不幸にも、多くの人々が既に別の変異株への感染を経験しているというこの状況により、我々は以前の感染歴がオミクロン株からの保護を果たすのかどうかを調べることができる。これまでのところ、保護はしてくれそうにないとの結果が示されている。言い方を変えれば、もしあなたが最初のワクチン接種を受けていなければ受けるべきであり、もしその後追加接種が可能であるならばそれも受けるべきだということだ。

こうしたことを踏まえて、休日への準備を進める中、私も含めた我々全員はどうすればいいのだろうか。

データを待つ間、基本的な予防対策は最善の策となる。従来と変わらぬ対策(公共の屋内空間でのマスク着用、迅速な検査、換気、そして当然ワクチンも)は依然として浮遊するウイルスの感染拡大阻止に最も重要だということは、すべての兆候が示している。さらに、米国ではまだデルタ株が日々の感染の99.9%を占めており、こうした安全対策はデルタ株からの防御にも十分役立つ。

さらに、あなたがワクチンが簡単に手に入る地域に住んでいるのならば、今が追加接種――種類は問わない――を受けて、新たなオミクロン株を撃退できる確率を上げるときだ。

もしあなたがワクチン接種を完了していて、休日の旅行を計画しているなら、まだ確定的なアドバイスを与えるには正直早すぎる。私は人々に中止の選択肢も検討するようにとは言っているが、家族の集まりを中止するようにとはまだ助言していない。もし全員が少なくとも最初のワクチン接種を完了していればの話だが。

これが私からの最後のアドバイスだ。2020年のようなロックダウン(都市封鎖)に戻ることは誰も予想していない。我々は今、ウイルスを予防し、取り扱うためのより多くの手段を手にしている。だが、私や他の科学者、医師、公衆衛生の専門家が最悪の想定と最良の期待のはざまで正しい行動をとるために最善を尽くそうとしている間、もう少し待ってほしい。アドバイスは変わることがあるかもしれないが、我々は最善を尽くし、できる限り迅速に事を進めている。

結局のところ、我々は全員、より普通に過ごせるホリデーシーズンを待ち望んでいたということだ。

メーガン・ラニー氏は医学博士、公衆衛生学修士で、米ブラウン大学の救急医学教授と同大公衆衛生大学院の副学部長を務める。記事の内容は同氏個人の見解です。

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