奇跡の生還、エアインディア墜落事故の唯一の生存者について分かっていること
インド機墜落、男性乗客1人が生存
(CNN) それは一見信じられない光景だった。インド西部アーメダバードでエアインディアの旅客機が墜落したというニュースが流れた直後、血の付いたシャツを着て現場から歩いてくる男性を映した動画がソーシャルメディアに出回り始めた。
その後、生存者が1人いることが分かった。ヒンドゥスタン・タイムズ紙が特定したところによれば、事故から生還したのはインド系英国人の男性、ビシュワシュ・クマル・ラメシュさんだった。
同紙は病院で治療を受けるラメシュさんのインタビューを引用。ラメシュさんは「離陸の30秒後に大きな音がして、飛行機は墜落した。すべてがあっという間の出来事だった」と語った。
ラメシュさんは家族に会うためインドを訪れ、兄弟と共に英国に戻るところだったという。別の列の座席に座っていた兄弟が助かったかどうかはわからないと話した。
エアインディアはその後、乗員乗客242人のうち241人が死亡し、ラメシュさんが唯一の生存者であることを確認した。
従兄弟(いとこ)のアジェイ・ヴァルギさんは英レスターで記者団に対し、ラメシュさんから家族に電話があり、「元気だ」と伝えられたことを明らかにした。
医師の一人はCNNの取材に対し、ラメシュさんの容態は「それほど重篤ではない」とし、数日中に退院できるだろうと語った。出回った画像には血が写っているが、それほどひどい傷ではないという。また本人は現在、非常に快適で厳重な観察下にあり、問題はないとした。
インドの報道機関はラメシュさんの搭乗券の写真を公開。それによると、ラメシュさんは同フライトの11A席にいた。座席は非常口列、飛行機の左翼のすぐ前に位置している。CNNはこの写真の真偽を独自に確認していない。
CNNの安全アナリストで元米連邦航空局(FAA)安全検査官のデビッド・スーシー氏は、飛行機のその部分に座っていた人が、このような墜落事故で生き残ることに驚きを示した。
同氏によるとその座席は、主翼のスパー(翼桁)が下を通っており、航空機が地面に激突する際には強固な部分になるという。だが、その上の座席の生存率という点で言えば、今回の生還は信じられないほど驚くべきことだ」という。
ラメシュさんの生還は、英国の国会議員からも奇跡的と評された。
「奇跡としか言いようがない。私は家族に連絡を取ったが、この困難な時期に彼らのプライバシーを尊重することを選んだ。ただ同乗していた彼の兄弟は、残念ながら助からなかった」。地元レスターの選挙区選出の国会議員であるシバニ・ラジャ氏は12日、CNNの取材に答えてそう語った。