氷の融解続くグリーンランド、1日でフロリダ州全土浸す量の水溶け出す
雪氷圏を研究する学術誌「Cryosphere」で最近発表された報告によれば、1990年代半ば以降、地球からは28兆トンの氷が失われた。その大部分はグリーンランドの氷床を含む北極圏が占めるという。
英リーズ大学の氷河学者で同報告の共同執筆者でもあるトーマス・スレーター氏は、過去10年の間にグリーンランドの氷の融解はより極端かつ不規則になっていると指摘。グリーンランド上空の大気が引き続き暖められる中で、今回のような極めて大規模な融解はより頻繁に発生するようになるだろうと予測した。
2019年、グリーンランドの地表から海へ溶け出した氷の総量はおよそ5320億トンだった。同年は春の気温が予想外に高く、7月の熱波でほぼすべての地表の氷床が溶け始めた。この結果、世界の海面は恒久的に1.5ミリ上昇した。
グリーンランドの地表の氷が溶け続ける中、スレーター氏は世界中の沿岸部の都市で洪水の脅威が高まると懸念を示す。とりわけ異常気象に伴う高潮の発生がリスクを押し上げるとみられる。
同氏によれば、グリーンランドから溶け出す氷で世界の海面は今世紀末までに2~10センチ上昇する見通しだという。