睡眠不足だとジャンクフードが欲しくなる、科学的理由があった?

ギリシャとアイスランドのヨーグルトは通常のヨーグルトよりとろみが強く、クリーミーだ。添加されたタンパク質が満腹感を持続させる/Claudia Totir/Moment RF/Getty Images
写真特集:食欲を抑制する食べ物

ギリシャとアイスランドのヨーグルトは通常のヨーグルトよりとろみが強く、クリーミーだ。添加されたタンパク質が満腹感を持続させる/Claudia Totir/Moment RF/Getty Images

(CNN) 夜中の午前3時、あなたは2夜連続で目がさえて眠れない。母親から入眠に最適と教わった温かいミルクを飲むため、寝床から出てキッチンに向かう――。それなのになぜ、アイスクリームにクッキーまで食べてしまうのだろうか。

「睡眠不足の時に『あれだよ、ニンジンが欲しいな』とはならない」。そう指摘するのは米シカゴ大で脳の仕組みと行動の関係を研究する行動神経科学者、エリン・ハンロン氏だ。

ハンロン氏は「(睡眠不足の場合)甘いものや、高塩分、高でんぷんの食品が欲しくなる」とも説明。具体例としてチップスやクッキー、キャンディーを挙げる。

太古の仕組み

睡眠不足とジャンクフードの間にどんな関係があるのだろうか。その答えは歴史の中に眠っている。人類がまだでんぷん質の塊茎を掘り起こし、甘いベリーを採集し、脂質の多い魚を食べていた時代のことだ。

簡単に言えば、睡眠不足によって糖分や脂質の多い食品を求める太古の本能が誘発される。

ハンロン氏は「進化の観点から見ると、炭水化物や脂質の多い食事を取れるかどうかは死活問題だった。こうした栄養素は常に摂取できるとは限らなかったためだ」と説明する。

「24時間いつでも食事を取ったり、飽和脂肪や炭水化物に富む食べ物を摂取できるようになったりしたのは、人類の歴史においてごく最近のこと。私たちの脳の進化は食べ物の選択肢の拡大に追いついていない」

睡眠とエンドカンナビノイド

もしかしたら、食欲の制御に関連する2つのホルモンについては聞いたことがあるかもしれない。レプチンとグレリンだ。

南カリフォルニア大学ケック医学校の専門家ラジ・ダスグプタ氏によると、レプチンは食欲を抑制して体重減に貢献し、グレリンは空腹感を増大させて体重増加を引き起こす。

睡眠不足だとグレリンの血中濃度が上昇する一方、レプチンは急減する。その結果、空腹感が高まる。

しかし、これだけではニンジンよりもキャンディーが欲しくなる理由について説明がつかない。

この疑問に答えるためには、体の別のシステムに目を向ける必要がある。エンドカンナビノイド系だ。身体の恒常性を保つ働きがあり、睡眠から食欲、炎症、痛みなどに至る全てを制御している。

カンナビノイド受容体は1988年、ネズミの脳内で初めて発見された。その後数年のうちにCB1とCB2という2つの受容体が見つかり、全ての脊椎(せきつい)動物に存在することが明らかになった。一部の無脊椎動物に存在する可能性もある。

現在では、この仕組みが太古の昔からあったことが分かっている。カンナビノイド受容体を有する最も原始的な動物は、6億年以上前から生息するホヤだ。

この仕組みと食生活がどんな関係があるのだろうか。エンドカンナビノイドは、お菓子への欲求を誘発することが多いことで知られるマリファナの有効成分と同じ受容体に結合する。

ハンロン氏は「動物の脳の特定の部位にエンドカンナビノイドを注入すると食欲を引き出すことができる。すると動物は特定もの、より口当たりの良いものを食べるようになる。サッカリンよりショ糖を求めるようになる。理論的には同じ味だが、ショ糖の方が炭水化物が多い」と話す。

研究者の現在の見方では、このエンドカンナビノイド系が原因となって脂質やでんぷん質、糖分が多い食べ物への快楽的な欲求を引き起こしている可能性がある。

レプチンとグレリンの場合と同様、睡眠不足がこうした状態を一層悪化させているとようだ。

ハンロン氏は2016年の研究で、「2AG」と呼ばれる体内カンナビノイドの血中濃度について、4日間の睡眠が8時間以上の人と4.5時間の人を比較した。

その結果、睡眠不足の人は十分な睡眠を取った人に比べて空腹感や食欲が強く、午後の2AGの血中濃度も高い数値が出ることが判明した。睡眠不足の場合、高炭水化物・高カロリーのスナックへの欲求を抑えるのも難しかった。

その理由については「分かっていない」とハンロン氏。いずれの研究も端緒に就いたばかりで、まだ全体像や対策を解明できていないのが実情だ。

まとめとしては、睡眠不足のジャンクフード好きに処方される薬が近い将来に登場する可能性はない。ただ、真夜中の食欲を抑えるためにはむしろ、医師のアドバイスを聞いた方が良さそうだ。「もっと睡眠を取ろう」

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